第24話【急転直下、生徒会案件】

 『鐵道写真部』活動二日目。

 シャッター音がカメラ三台分鳴り響く。昨日と同じ時刻、定刻通りに貨物列車が通り過ぎていった。相変わらずのEF210。撮れた写真はなんの代わり映えもない。けどここには三人が集まっている。

 昨日生徒会の用事が片づいていなくても都合をつけてやって来た早岐会長が今日は来ない。

 とは言えにっこーちゃんはカメラを手に持ったまま虎視眈々と向日町さんを狙っているよう。その向日町さんもテンションは変わらず昨日と同じく○スキーの三脚を全開、三段脚立の上の人になっている。この部活は大丈夫じゃなさそうで大丈夫だということだろうか。


 その時だ、バンっと勢いよく屋上のドアが開かれる音がした。ここまで駆け上がってきたのか呼吸が少し乱れていた。しかし——

 そこにいたのは惟織さん。早岐会長は来ないのになぜ惟織さん? なにか異様な感じがする。

「どうかしました?」にっこーちゃんが声を掛ける。

「向日町さんちょっと来て、面倒なことになってるのよ!」惟織さんはそう言った。

 確かにそう聞こえた。

「はぁい?」向日町さんはまだ脚立の上。なにが起こったのか分からない風できょとんとしている。

「なにしてるの⁉ 早くしなさい」なおも惟織さんが向日町さんを急かしている最中にっこーちゃんが割り込んだ。

「面倒なことが起きたなら部長であるわたしに言って下さい!」にっこーちゃんはそう言った。

「そうね、あなたにも言うつもりだけど、あなたは関係者ではあっても当事者じゃない。それにこれは生徒会案件なのよ!」

「せいとかいあんけん?」にっこーちゃんが言われたままおうむ返しに喋っていた。


 『生徒会案件』がなにを意味しているのか、そんなこと分かるわけがない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る