第6話【じゃ、四日後にね】

 週が開けた。月曜日がやって来た。

 なにやらもの凄く時間を無駄にしたような気がする。この週末はなんという週末なのだったろう。


 そして放課後。

 約束の場所は屋上。この時間。僕がそこに辿り着くと果たして——

 ——誰もいなかった。

 なるほど、確かにこういう展開はあり得た。

 バカみたいだな。


 遠くをJR東海の普通電車が通り過ぎた。

 帰るかな……

 そう思ったとき、「待った?」と背後から声がした。

 振り向けば間違いなくそこには『にっこーちゃん』。


 女の子が僕との約束を守ってくれた。たったこれだけなのになんだろなこの感動は。


 しかしにっこーちゃんは言った。

「ごめん、資料集め急がせちゃったけど写真ができる金曜日まで待って。時間は今と同じでね」と。

 それだけ言ってにっこーちゃんはもう行ってしまった……


 今度会うの四日も後ですか……この展開はまったく予想できなかった。

 まあ恋人同士ってわけでもなくクラスも同じじゃないから一緒に毎日過ごす理由が無いんだけれども……



 ——この時間を使ってさらに鉄道写真について調べた方がいいんだろうか?


 これは無駄になるかもしれない。単なる徒労かもしれない。だけどやっておきたいような、やらなければ後で後悔さえするような気が——気のせいかもしれないけれどそんな気が押し寄せてきてる。

 ともかくからかわれたに過ぎないのか本気なのか、四日後には分かる。分かってしまう。取り敢えず今は不安もあるけど〝可能性〟という夢もある————

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