第6話百合じゃねぇか!


「今日捕獲したらメンバー紹介してやる。」


「捕獲って……。わかった。」


まぁ、あれは夢だけど、また見るのはゴメンだ。

2人に合わせて話してるとまた見そうだなぁ……

でもまぁ面白いからいっか!

でもまぁ、またあの夢見たらアレの設定通りなら。


「ねぇねぇ!かんちゃくってもしかして今日もジャージ?」


「私の服貸してあげたいけど……サイズが……。」


「俺の服着るか?」


「ボスの服も絶望的に胸囲のサイズが脅威になって無理でしょ!詰め物する?」


「……向こうの世界で私たちのお給料から少し出しましょう?」


「そうだな、来月返して貰えれば良いぞ。」


「あっ、やっぱり良いや!かんちゃくこっちの世界の服で行く!」


「ジャージは目立つぞ?」


「ジャージじゃないの着るよ!」


「普通の服だと目立つよ?夢歌人って、秩序を守る為に戦うから悪い人達に狙われやすいから、お金の事は気にしなくて良いから向こうでお洋服買おう?」


「それっぽいの着れば良いんでしょ?もし、今日行ってこの服じゃ危ないって思った時はお金貸して?」


グッ!っと親指立てて自信ありげな春菜。


「うん……」


心配そうな千果とえりか。


「それじゃぁかんちゃく入のと約束が有るから!遊びに行ってくるね!」


「いりの?」


「さっき言ってた友達?」


「うん!スナ〇キンごっこするのに緑の服と帽子作るの!」


ニコニコしながらパタパタ身振り手振りを入れて話す春菜。


「でも布とかどうするの?」


「家庭科室のいらない布貰おうと思って!」


「そんなに簡単に貰えるもん?風見(かざみ)のやつは厳しいぞ?」


家庭科教師の、風見はいつもピシッとした人で生徒指導も担当している厳しい教師だ。

えりかは布は貰えないなぁ、可哀想にと思う。


「ダメ元で!百合香ゆりか先生に頼んでみるよ!」


「百合香先生?家庭室は風見の管理下にあるからその先生に頼んでもむりじゃないか?」


「何言ってんの?風見 百合香かざみゆりか先生じゃん?」


「は?風見の事下の名前で呼んでるのか?」


「風見先生下の名前百合香さんって言うんだね……」


ビックリするえりかと千果。


「うん?」


「なんであの怖い風見を下の名前呼びなんだ?」


心底不思議だという風に聞くえりか。


「んー、ひっみっt」


ゴスっ!


えりかに殴られる春菜。


「それ、ウザイ。」


「だからって鉄拳制裁は良くない!」


涙目で訴える春菜。


「それで?どうして春さんは風見先生の下のお名前で呼ぶの?」


華麗にスルーの千果。


「ママ、私の心配は?」


「そんなんどうでもいい。でっ?なんでなんだ?」


「二人共出会って2日でかんちゃくの扱い酷くね?」


ぶーたれる春菜


「お前の扱いを心得ただけだ。」


「一日が濃くて、もう会って1年くらいの気持ちだよ春さん。」


「そんな!二人共かんちゃくの何をしってるのさ!」


「「行動が馬鹿。」」


綺麗にハモる千果とえりか。


「そんなハモって……。酷い。」


「事実だろ?」


冷たく言い放つえりか。


「で?春さんどういう事なの?」


やはり華麗にスルーな千果。


「高校からの入学だから早く慣れたいんですって、言って、ちょいちょい学校来てたんだよでね。」


「うん?」


「でね、百合香ちゃんとお話してて。先生は可愛らしい方なんですねって言ったらそっから何やかんやで下の名前呼びになり仲良くなった!」


「えっ?はしょりすぎだし状況が理解できない風見に可愛い方なんですねとか口説く感じになるのがわからない。」


「うん、私もわからない。春さん何がどうなって、そうなったの?」


問い詰める2人。


「えー、普通に最初はあんまり話しかけても簡単な答えばっかりだったけど。


「神咲さん、貴女はなんでそんなに話しかけてくるんですか?」


「風見先生と話せるのが嬉しいからです。」


「私なんかと話すのが嬉しいなんてかわってますね。」


「だって、先生私が話しかけるとちゃんとに返してくれるし、きちんとした事を言ってくれて、とっても話しやすいです。」


「私が話しやすいなんて、他の生徒は私に話しかけないですし。話してても直ぐに話を終わらせようと謝って来るのに……」


「んー、こんなに優しいのに。そうだ!もっと親しみやすくしてみたらどうですか?そうしたらきっと皆も風見先生と話すの楽しいって気づいてくれます!」


「別に話しやすさなんていりません。」


「でも、直ぐに謝って話を終わらせようとするって言ってましたよね?それじゃぁ話すのに困っちゃいますよ。」


みたいなやり取りをしててそのうち。


「じゃぁまずは親しみを込めて下の名前でよというのはどうでしょう?」


「下の名前なんて、教師としておかしいです。」


「そんな事ないと思いますよ?数学の山土(やまと)先生も現国の陽向先生も他の先生も割と下の名前で呼ばれてますよ百合香先生?」


「なっ!私の下の名前しってたの?」


「だって職員紹介の時なのってたじゃないですか?百合香先生?」


「やめて下さい。私が百合香なんて……。似合わないです」


「そんな事ないと思いますが?」


みたいなやり取りがまた続き、てかここは先生が名前に関する話をしてくれたのですが、人に語ることではないので省かせていただく。

そんで、百合香先生って呼び続けて。

照れた百合香先生が承諾した時

「先生って可愛い方なんですね」ってなって仲良し!下の名前呼び!」


長々寸劇した春菜。


「なんて言うか、お前は先生をどうしたいんだ?ギャルゲーの主人公かお前は?先生は攻略対象か?」


あきれるえりか。


「なんて言うか、物語みたいだね。」


ぱちぱちと手を叩き楽しそうな千果。


「まぁ、そんな訳で百合香先生とは仲良しだからちょっくらいってくるっす!」


鞄を持つとサッサと教室を出ていく春菜。


「なんて言うか、あいつすげぇな。」


「そうね……」

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夢の世界を守るんじゃ!〜歌は夢見る魔法使い〜 数野衣千 @kazuno_iti

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