木械

人類同士の戦い。


その戦争で用いられた兵器、木械巨人、は、今、人々を湧き立てる競技の主役だ。



生物が作り、宿主の中に流れる霊力。


それを吸い、筋肉の様な力を得る霊木。


その素材を用い、作られた人型の搭乗兵器が木械巨人だ。




人々は霊木を育て、切り倒し、加工した物が木械と呼ばれる加工品だ。


使い手の霊力を宿す霊木は、使い手の命令に従い、その筋肉の様な体を収縮させ、力を生む。


霊木の使い手は、増えた腕を動かす様な感覚で木械を操る。


増えるのは腕とは限らず、人体ではあり得ない構造の部位を用いられる木械。


人を乗せる台を動かす車輪を回す木械、背中に抱う事で腕を増やす木械、水をかくスクリューを回す木械、など。色々ある。


木械巨人は、巨体で敵を蹴散らす為に作られた兵器で、用途に合わせて巨大な道具を振り回す。



霊木を扱うのを、人に限らず、生物としたのは、霊木を喰らい、変容させ、身体の一部として扱う獣が存在するからだ。


その獣は同じ形をしている事が珍しく、喰らった霊木の量や、変容の仕方で、多様な姿をしている。


その多様さから、同一の生物だと分かったのは近代に入ってからだ。


それは霊木を求めるあまり、人が植林している霊木を求めて、人里に来る事があり、人々を困らせている。


個体によっては数十メートルを超える事から、木械巨人を用いて対処する場合もある。

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