エルフとオーク

この世界は、オークエルフに格差があります。


鍛える程に成長する肉体を誇る男と細すぎず太すぎない肉体を誇る女。


肉体に対する趣向は違えど、男と女は互いを必要とします。子孫の繁栄を求めて。



それは『女性は美しくあるべき、と美しいモノは守られるべき』という思想です。


女の殆どは男神おがみに身と心を捧げています。男神から愛される為に肉体を磨くのです。


対して、男は男神から好かれていません。ライバルとも言えるのですから。


男神は、世の男に女がとられる事を好まず、加護を与えていません。自分だけがイケメンであり続ける為に。故に世の男はブサイクだらけ、なのです。


男神の加護は魔の浸食を防ぎます。魔に浸食されたモノは穢れます。


男神は穢れた世で暮らす事を嫌い神殿から出ません。





穢れた世界、別名、外界には魔女が居ます。それは全身が褐色の肌に包まれた女です。


聖なる白は浄さの象徴、邪なる黒は穢れの象徴。


男神と女は白き肌を、加護無き男と魔女は褐色の肌を、しています。


世界は穢れにあふれています。


穢れから逃れる為に美しい女性は男神に媚びを売ります。


男神に選ばれた女性は穢れた世界から脱する事が出来るのです。





ある時、美しい女が居ました。


男神はその女を欲しましたが、その女は家族と離れる事を好まず『男神おがみさまのハーレムに加わる気はありません』と断ります。


それに激怒した男神は加護を失わせました。


加護を失っても、自分に泣きつかず、謝罪せず、平然と暮らす女を見て、更なる不満を抱いた男神は、女を醜い男に変えようと、信者をけしかけて、女を穢れさせました。


美しい女は、醜い男になってしまいました。


その女は男になった事に苦しみましたが、自らを虐げた男神に頭を下げる気には成らず、自力で女に戻ろうと筋肉トレーニングと魔物退治を始めました。


自分を女に戻す力を持った魔物の素材を手に入れる為に。


そう、男神が思っていたより、その女は、か弱くありませんでした。

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