転移は着ぐるみと共に

 着ぐるみ姿でアルバイトをしている最中、地面を失った感覚に陥り、地面を取っ戻した時には、見覚えが無い閉鎖的な空間に居た少女の目の前には、獣の顔を象った被り物を被りファンタジーを連想させる黒装束に身を包んだが立っていた。


 自分は魔族だと、自己紹介をする獣頭は儀式が成功して、魔物を呼べたと歓喜している。


 誤解を解こうと人間だと言いかけた少女は「人間が来なくてよかった」と呟いた獣頭に理由を訊ねたら「面倒だけど人間だったら処分しないといけない」などと返答されて、誤解は解かない方が良いと考えて必死に魔物を演じた。


 魔物を召喚したと触れ回る獣頭の言動で後に引けなくなった少女は必死に取り繕った。


獣頭に連れられてお城の中を歩いた少女は周囲の者たちが獣の頭をしている事に気付いて、ここは異世界で獣頭の主張は否定しがたいと思えて、アトラクションやテーマパークなどの微かな希望を手放さざるを得なかった。


 気付かれずに与えられた部屋に案内された少女は誰にも見られていない事を注意深く確認して休むために着ぐるみを脱いでいたら、獣頭に中身を見られて、人間だと知られた。


 「騙したな」と獣頭から怒鳴られた少女は死を察して「命だけは」や「何でもするから」などと懇願したら、嘘が無いかと確認されて肯定したら、気付かれずに魔物の振りを続けろと命令された。


 魔物を召喚したと触れ回ったお調子者は、実は人間を召喚していたと侮辱される事を嫌って「嘘を貫き通せば」などと考えて、着ぐるみを着た少女を魔物に仕立て上げた。


 人間と対立する魔族の拠点お城で魔物と偽り暮らす人間の少女は隠し通せるか?


 終わり

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