支配の血

「血を食らう吸血鬼きゅうけつき隷血れいちによって支配できる」これは家畜の人間から生まれた立場を逆転させる力だった。


一世紀前、人々は血を吸う鬼 吸血鬼 に支配されていたが、ある者の血を吸った吸血鬼が、ある者の隷属になり、吸血鬼の同士討ちが始まった。


革命を成し遂げた支配者ある者の血は隷血れいちと呼ばれ、支配者ある者の子孫に受け継がれた。


隷血を生む者は血王ちおうと呼ばれ、隷血を吸わせた吸血鬼を隷属して眷属にした。


吸血鬼は内包する隷血を生んだ者の命令を拒むと罰として耐えがたい苦痛を与えられて苦痛から逃れたい吸血鬼は服従している。


吸血鬼は儀式 血の継承 で次の血王へ継承される。


継承けいしょう、血が少なく渇いた眷属へ行う、渇きで苦しむ吸血鬼へ継承者の隷血を吸わせて眷属にする儀式、新たな血王の隷血が現血王の影響力を上回り支配者が変わる。




血王Cに隷属する吸血鬼のB血王CAから愛されて苦しい血王の支配から逃れようと努めた。


父親Cに隷属する吸血鬼Bへ恋する少女Aは……、


Bの支配者に成って、いくら自由を認めても、支配者が生きている限りBは自由を疑い続ける」


ABの信頼を得るには、犠牲となり血の呪縛から解放するしかない」


と考えた少女Aは血の継承を終えて自殺するために父親Cから信頼を得ようと愛しいBを侮辱して、愚弄して、吸血鬼に情が無いように見せた。


父親Cから信頼を得て儀式を終えた少女Aは愛しいBへ思いを書き記した手紙を残して首を吊り自殺した。


隷血から解放されて自由を得た吸血鬼B彼女Aの死を悲しんだ。


おしまい

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