竜龍と

 りゅうは力のみなもとを体内に有する霊力れいりょくの結晶〝竜玉りゅうぎょく〟から得ている。

 〝神龍しんりゅう〟は世界を流動する霊力が溜まる特異な人間の女性〝さかずき〟に生ませた子〝竜人りゅうじん〟を自身の代理人にして支配した。

 一部の竜人は神龍の支配から脱却すべく神龍へ反抗して殺した。

 人の身で竜の力を持つ竜人の中には、死する神龍から己が身に宿す竜玉を砕かれて力を失った者が居る。

 竜人は杯に子を生ませたが生まれた子は竜人ではなく、獣の姿をした〝竜獣りゅうじゅう〟だった。

 竜獣は竜人に敵わず、竜人は神龍に敵わない。

 数で圧倒した竜人は神龍に勝利したが同数なら大きさも力も敵わない。


 都へ行く道中、山道を歩く少女は、突然現れた竜獣に誘拐されて山奥に立つ小さな木造一軒家の一室に軟禁された。

 同じ部屋に居る人間は渇いて動かない。

 胴体の抉られた痕から、竜玉を失って渇いた竜人が仮死状態に成った状態だと気付いた少女は、竜獣を潤して生かす為に杯の自分を連れてきたと考えた。

 潤すまで部屋から出られないと判断した少女は接吻で竜人へ霊力を注いだ。

 渇きが潤い目覚めた竜人は意識がある事を嫌悪して「なぜ生かした」などと少女へ暴言を吐いた。

 竜獣は竜人の目覚めを喜んだが少女を解放しなかった。

 竜玉が無い竜人は外部から霊力を補給しないと渇くから生きられないと考える竜獣竜人を生かす為に多量の霊力を溜める杯が必要だと判断して少女を解放しない。

 生を拒み渇きを求める竜人少女を軟禁から解放して脱走の手助けをした。

 生を拒む理由を竜人へ問いただした少女は、大切な人が死に生きる意味を失った事を知った。


 潤いを渇かすために竜人は自身に流れる大量の霊力を使い竜の力〝竜術りゅうじゅつ〟を使った。

 霊力の異常な流れを察知して駆け付けた竜獣は竜術を止めようと試みたが失敗した。

 渇いた竜人の姿を見て塞ぎ込む竜獣の様子を離れた場所から見ていた少女竜人へ駆け寄り接吻で竜人へ霊力を注いて渇きを潤した。

 生を望まぬ竜人から暴言を吐かれた少女は「私を誘拐してまで貴方を生かそうとする竜獣の気持ちを考えろ」などと言い返した。

 大切な人が残した竜獣から大切に思われていると気付いた竜人は生きる意味を少し手に入れた。

 竜人は自分を生かした少女に責任を取れと主張して逃がさなかった。




関係性

 竜人が恋した大切な人の子供(竜獣)の父親は竜人とは別人で、父親を失った子連れの女性に生活環境を与えた竜人は女性から霊力を得ていた。


杯の設定

 霊力は大地や竜族が有する竜脈りゅうみゃくを常に流れ続けているが杯は水を溜める容器が如く霊力が溜まる。

 接吻で霊力を注ぐのは、口を注ぎ口に見立てている事から。

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