第93話 意外な依頼人

 サリー:人間の皆さんこんばんは、ナレーターのサリーです。あらゆる方向から策を張り巡らせるイザベラさん、今夜はなんとある意外な方から依頼が舞い込んできたのでした。果たしてその方とは?


 魔界時間22:38 宮殿女帝執務室


 イザベラ:さて、そろそろ寝支度を・・・ん?この気配は・・・


 アサギ:お休み前に失礼致します陛下、天界よりお客様がお見えになられています。


 イザベラ:やっぱり、この気配は神気だったわね。それで、こんな時間に誰が来たの?


 アサギ:それが・・・


 厳格な雰囲気でスーツ姿の男神おがみが現れる


 ???:突然夜分のご訪問をお許しください陛下。


 イザベラ:これは驚きました、まさか自らお越しになるとは。


 サリー:あの方はイザベラさんの仰る通り、神聖中央銀行しんせいちゅうおうぎんこう頭取の冬城幸彦とうじょうゆきひこさん。種族は恵比寿属です。


 イザベラ:お話を伺いますから、どうぞこちらへお座り下さい。


 ソファーに座る幸彦


 イザベラ:どうして、わざわざお越しになられたのですか?


 幸彦:通信越しではがあったものですから。


 イザベラ:ご用件はドラット製薬グループによる買収計画の資金源に関する事ですか?


 幸彦:はい、お恥ずかしながら当行は妖凱製薬グループ傘下のドラッグストアチェーンである幻魔ドラック買収計画への融資が出来るほどの資金力はありません。しかしながら・・・


 イザベラ:何処から工面したのか、御行おんこうの何者かが巨額の資金を用意して追加融資を役員会議の場で申し出たというわけですね?


 幸彦:はい、役員達はその者が巨額の資金を用意した事で融資に賛成して私も採決を下さざるを得ない状況となりました。


 イザベラ:その資金を用意したのは?


 幸彦:嶋神副頭取しまがみふくとうどりです、対立派閥のトップである陸波常務おかなみじょうむは何処から工面したか分からない様な怪しい金は融資に使うべきではないと私同様反対していましたが。役員全員に押し切られ、泣く泣く採決を下しました。


 イザベラ:(最後まで反対姿勢を崩さなかった冬城頭取と陸波常務はシロね、となると中央政府と繋がっている神聖中央銀行の裏切り者は嶋神副頭取で決まりね)


 幸彦:陛下?


 イザベラ:すみません、あくまで貴方の話から得た私の見解ですが、お越しになってまでの頼み事は私の知恵を借りたい、そして我が国の手の者による潜入調査と証拠の確保ではありませんか?


 幸彦:そこまでお見通しとは、流石は魔界宇宙でその名を轟かせる天才軍師魔王というだけと事はございますな♪まさにその通りでございます。


 イザベラ:貴方では内部調査をしようとすれば嶋神副頭取の息のかかった者に見張られ筒抜けですからね、私を頼ったのは極めて賢明なご判断です。あとは私にお任せ下さい♪


 深々と頭を下げる幸彦


 幸彦:なんと心強い!何卒なにとぞ宜しく頼みます! 


 イザベラ:あまり長居をしては気取られてしまいます。今夜はホテルを用意いたしますからそこへお泊り下さい。ボディーガードに我が国の特務機関の中でも指折りの者をお連れ下さい。


 幸彦:何から何まで痛み入ります。


 一礼して執務室を出る幸彦


 イザベラ:さ・て・と、聞いての通りよ。あとは分かっているわね?


 ???:はっ、お任せ下さい。




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