第85話 古本屋の元就さん
ミナミ:人間の皆さんおはようございます、ナレーターのミナミです。皆さんは元就さんがこの国に来た時に古本屋さんに行ってて不在になった事があったのを覚えてますか?どうやら今日も朝から行ってるみたいですね。
魔界時間9:27 帝都クランケ 中央病院
診察を受けるハーフバンパイア
内科医:あれからどうてすか?フェザリスさん。
エドガー:先生のお陰であれから禁断症状も完全に鎮静化していますよ♪
ミナミ:こちらの眼鏡をかけた方はエドガー・フェザリスさん、
内科医:
エドガー:純血種は吸血能力が退化したのに反して私のようなハーフバンパイア族は未だこうして通院による治療をしないと治らない・・・でしたね?
内科医:そうです、輸血パックと体質改善薬との併用を重ねてようやくここまで改善されました。フェザリスさん、よく頑張りましたね♪あと少しですよ。
エドガー:はい。
内科医:ではいつもの薬を処方しますので、朝晩食後の服用と、3食必ず食前にトメロンジュースを飲むようにしてください。
エドガー:はい。
ミナミ:トメロンというのはトマトとメロンの中間のような野菜で、魔界宇宙では健康食材としても有名ですが、トメロンには吸血症を退化させる効果のある成分が含まれているのです。
内科医:ではお大事に♪
古本屋の前に立つ元就
エドガー:おっと、もう開店時間でしたね。
店を開けるエドガー
エドガー:いらっしゃいませ元就さん♪
熱心に本を読む元就
エドガー:貴女がここに来た時人間のお客様が来られる事自体が珍しかったのに、まさかあの毛利元就様だったと知った時は驚きでした。あの時は読書に夢中になられて聞けなかったのですが、何故女性のお姿なのですか?私の知る毛利元就様は男性だったと記憶しておりますが。
本を閉じて答える元就
元就:私は自身が死んだ事にして隠居していたのだけどね。ある日、空間転移事故・・・だったかな?アレに巻き込まれた時同時に巻き込まれた別次元の私の肉体に私の魂が入ってこの様な姿になったんだよ。もっとも、私の肉体は元の時代の山中で倒れたままになってるがね。
エドガー:そうでしたか。
元就:エドガー殿は何処かの公家か大名とお見受けするが如何かな?
エドガー:どうしてそう思われますか?
元就:上手くは言えませぬが、強いて言うなら民には無い雰囲気の様なものを感じたが故の事。
エドガー:流石は
元就:そのような者が何故その・・・
エドガー:ある事件の責を負って没落、お家断絶となつたのですよ。
元就:ある事件?
エドガー:私の治めていた星の医師が医療ミスを起こしましてね、その患者が天界のとある国の貴族だったのですよ。命に別状のないものでしたが、その貴族の怒りを買い責任を追及されたのです。
元就:差し詰めその医療ミスは医療費を踏み倒すための方便。それに気付いた貴殿は相手が悪いと判断しその医師を守るため自身が責を負ったといったところかな?
エドガー:参りましたね、そこまで正確に言い当てられるとは♪
元就:その天界貴族の三文芝居だったのであれば
エドガー:4
元就:天界宇宙を総べる天界大帝ラクード様に次ぐ天界宇宙第2位の実権を握る14天界王の
エドガー:そこまでお見通しとは、その貴族は14天界王東洋サイドの1
元就:やはりあの国はこの国の医療技術に嫉妬しているが故の嫌がらせか。
エドガー:まさか、元就さんはその国をご存知なのですか⁉︎
元就:フフッ、それはご想像にお任せするとしようか♪
???:おはようございま〜す♪
エドガー:おやおや、可愛らしいお客さんが来たようですね。いらっしゃいませ琴里さん♪今日はどういった本をお求めですか?
琴里:今日はご挨拶に来ました。私、明日帝王都サタンヘイルダムに引っ越してそこから学校に通う事になったんです。
エドガー:そうでしたか、寂しくなりますね。
琴里:お休みの日には遊びに来ますよ♪
エドガー:それは楽しみですね、お待ちしておりますよ♪
琴里:またね〜♪
店を出る琴里
元就:さて、そろそろホテルへ戻るとするか。エドガー殿、今日はこれを貰おう。ネットは便利ではあるが、やはり紙の本が落ち着く♪
会計をするエドガー
エドガー:貴女の様な方が居るから本も存在価値があるというものです♪
店に入る天界貴族
天界貴族:邪魔するぞ!
店内を物色し一冊の本を見つける
天界貴族:おおっ!あった、あった!やれやれ、魔族というのはこの本の価値も分からんのか。こんな所に他の本と並べておくとは。おい店主!
エドガー:お求めの本がございましたか?
天界貴族:この本を貰おう!いくらだ?
エドガー:失礼ですが、その本はどの様な目的でお買い求めになられるので?
天界貴族:目的?決まっておろう、天界宇宙競売超大国オールドワンド王国で行われるオークションに出品するのだ♪
エドガー:つまりはオークションに出品してお金儲けするためだけにお買い求めになられると?
天界貴族:おかしな事を言うものだな、それ以外に何がある?これはな、これ一冊で国1つが買えるほど高価な本なのだぞ!それがこんな安値で売られているのはまさに我輩のためにある様なものではないか♪
エドガー:そういう事なら・・・
天界貴族:うんうん、売ってくれるのだな?
エドガー:お断り申し上げます。
天界貴族:なんだと⁉︎店が客の要望に応えられぬとはどういう事だ!
エドガー:ここは愛読者のための店です。本をただの金儲けの道具としか見ていない方を当店ではお客様とはお呼び出来ません。したがってお売りする事を拒否します。
天界貴族:なんだと〜!貴様、吾輩を誰だと思っておる!吾輩はかの14天界王西洋サイドクロノス様が血族であるぞ!
元就:ならば、こちらも然るべき所に訴えるしかありませんな。威力業務妨害として。
天界貴族:然るべき所だと?吾輩を捕らえられるものならやってみるがいい♪
元就:本当に良いのですか?4界警特権課に畏れながらと訴え出ればたとえ14天界王の何方かの血族といえどもただでは済みますまい♪その上クロノス様の家名に傷が付き他の血族より
天界貴族:し、4界警特権課⁉︎し、失礼した!
逃げる様に店を出る天界貴族
元就:真に本の価値の分からぬ者には売らぬその精神、感服しましたぞ♪
エドガー:助けていただきありがとうございます♪
元就:
エドガー: ?
元就:あ、いや。今のは忘れてくだされ。
会計を済ませて店を出る元就
エドガー:ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております♪
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