第51話 魔皇石

 アオイ:無事目を覚ました皇后アネッサ様、現在は順調にリハビリ中。イザベラさんはというと、天界宇宙に巣食う巨悪対策に策を張り巡らせながら国土争奪戦争の策を練っていました。その辺は魔界宇宙屈指の妖怪軍師九尾族というだけの事はありますね。


 魔界時間:18:00 帝都テッコウ 都内ホテル国賓フロア


 エリ:アサギさん!


 アサギ:私の留守中陛下のお世話ありがとうね♪


 エリ:それはそうと・・・


 バスローブ姿でベッドに横たわるイザベラ


 イザベラ:う〜ん・・・


 エリ:陛下はどうされたのですか?


 アサギ:ああ、いつもの事よ。陛下って策を練る時は必ずお風呂入るの。ほら、アイディアが出ない時ってトイレにこもると良いアイディアが出る事があるでしょう?アレと同じよ。たま〜に、こうして長風呂し過ぎてのぼせる事があるんだけどね。


 エリ:そういえば陛下ってやたらお風呂入りますよね?


 アサギ:1日最低2回は入らないと落ち着かないんですって。


 エリ:し◯かちゃんみたいな人ですね。


 客室中央に浮いた液晶モニターに映るヴィクター


 ヴィクター:くつろいでいるところすまないでゴブ・・・ん?イザベラ殿は寝ておるでゴブか?


 アサギ:これはゴブリアス皇帝陛下。ええ、陛下は少々のぼせてしまいまして。


 ヴィクター:大丈夫なのでゴブか?


 アサギ:ご心配なく、いつもの事ですので。それよりご用件を伺いましょうか。


 ヴィクター:おお、そうであった!其方は魔皇石まこうせきというのを存じておるでゴブか?


 アサギ:魔皇石・・・ですか?


 ヴィクター:うむ、我が国には数多くの未開拓の領土があってな。その中の1つ、惑星コバルトへ地質調査に行っていた調査隊が発見したのだ。


 エリ:アサギ先輩、魔皇石って?


 アサギ:魔鉱石というのはね、太古の昔には沢山採れていた鉱石の1つで。それには膨大な量のエネルギーが含まれていたから当時のエネルギー産業の主流となってたものよ。人界で例えるとそうねぇ・・・石炭と同じ化石燃料ね。


 エリ:私達はあまり馴染みのない名前の鉱石ですけど。


 アサギ:次元エネルギーが主流となっている現代、特にエリちゃんの世代だともう聞かない名前よね。私は学生時代の科学の授業で習う程度だから私も実物は見たことないわ。


 ヴィクター:そ、其方の学生時代って。余の学生時代でも習わんかったのに・・・其方歳はいくつなのでゴブか。


 アサギ:畏れながら皇帝陛下、女性に歳を聞くのは些か失礼かと。


 ヴィクター:うお!それは失言であった!さて、話を戻すが。とうの昔に採り尽くされて絶滅したと思われていた魔皇石の鉱脈が見つかった件であるが、おそらく余は天界宇宙の巨悪共がこれに目をつけると考えておるでゴブ。


 エリ:それはなぜです?


 アサギ:ヴァルキリー製造に必要なエネルギーが含まれているからですね?


 ヴィクター:左様、それで奴等に勘付かれる前にどうするかイザベラ殿に知恵を借りたいと思っていたのだが。まぁ、目を覚ましてからでも良いでゴブ。イザベラ殿にはお大事にと伝えてほしいでゴブ。


 アサギ:承知致しました。


 通話を切るヴィクター


 エリ:魔皇石かぁ。


 アサギ:それについては陛下が目を覚ましたら相談しましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る