第34話外交大臣と流れ者の騎士

 アオイ:外交大臣をお迎えするべく帝都次元国際空港へ向かう魔王秘書のエリさん・・・だったのですが、ウッカリ寝坊して慌てて行ったものの、当の本人はもういなかったのでした。実はその方、空港から乗り継ぎである場所へ行っていたのですが、その場所とは・・・


 魔界時間14:00帝国領 惑星カラット


 アオイ:惑星カラット、それは周囲にある宝石鉱山のある星々の中継点にあたる場所で。採掘された宝石の原石はここに集められ、選別、加工され、職人の手によって最終工程が行われ各ジュエリーショップへ送られるのです。


 ???:いやはや、これは実に合理的で良いね♪いよっ!名采配♡


 カラット公爵:勝手に出歩かれては困りますよ!ルブラン様!


 アオイ:この方はこのエリアを統治する領主、ダイアナ・カラット公爵様です。


 セシリア:そう堅い事言いなさんな、カラットのだ〜んな♪私なんぞの事心配してくれるなんて・・・いよっ!名君主♪


 アオイ:この太鼓持ちみたいなお姉さんがこの国の外交大臣になる予定のセシリア・ルブランさん。花魁が統治する国、魁桜国かいおうこく出身で種族は妖狐族です。


 カラット公爵:何故女帝陛下の所へ行かずこの星に来たのですか?・・・あ!この国の情報を集めて女帝陛下に謁見する際の話のタネにしようとしてるのですか?


 扇子を指して語るセシリア


 セシリア:さっすが御領主様!お目が高い♪その通り、デキる外交大臣は諸外国に我が国をアピールするために少しでもセールスポイントを見つけるのでさぁ♪


 カラット公爵:な、成る程!


 セシリア:およ?公爵さん、アレは何でござんしょ?


 カラット公爵:ああ、アレでございますか。彼処はこの国の職人達の憩いの場であるバーでございます。


 セシリア:いや〜!この国の職人のために憩いの場を作るったぁ、この敏腕領主!やるね〜、このっ、このぉ♪


 真っ赤になって照れるカラット公爵


 カラット公爵:い、いえ!


 セシリア:まぁ。バーなのでこの時間はやっていないっしょ?


 カラット公爵:あ、いえ。日中は大衆食堂になってるので、昼と夜とで使い分けてるのです。


 セシリア:シェアしてるってわけでござんすね!建物の維持費と光熱費をカバー出来て一石二鳥!やるねぇ♪さ、そうと決まれば早速中を視察と参りましょ!


 バー&レストラン『スターライト』


 セシリア:およよ?お客さんが1人しかいないね〜。


 カラット公爵:まだランチタイムですが、ピークを過ぎましたからね。この時間は大抵1人か2人なんですよ。


 セシリア:ほうほう・・・おや?あのお客さん。大層な美人だけど、職人ってわけじゃあないですね。どういうお方でござんしょ?


 カラット公爵:え?・・・あぁ、あの女性ひとですか。イデアさんといいまして。元は何処かの貴族の騎士団長だったそうですが、今は傭兵をやっているそうです。今はこの星の用心棒をやってくれています。


 イデア:・・・・・・・・


 アオイ:カラット公爵様に殆ど言われたので割愛させて頂きますが、種族は悪魔族です・・・・公爵様、私の仕事取らないでくださいね。


 カラット公爵:す、すみません。


 セシリア:まぁまぁ、良いじゃございやせんか♪


 イデアの指輪の紋章を見るセシリア


 セシリア:(おんや〜?このユグドラシルに両脇の双竜の紋章。これは魔界宇宙貴族連盟獣王界筆頭のミシュトラン大公のものだねぇ)


 イデア:私に何か用か?


 セシリア:いえいえ、お姉さん物凄くベッピンさんだと見惚れていましたモンでね♪


 イデア:・・・そうか。


 セシリア:元騎士団と聞きましたが。何処の御家中の騎士様で?


 イデア:・・・・・・


 セシリア:言いたくなければ当てて見せましょうか?かの魔界宇宙貴族連盟3大公の一角、デイビッド・Y・ミシュトラン大公猊下でござんしょ?


 イデア:どうしてそれを⁉︎


 セシリア:ムッフフ〜ン♪身分隠すならその指輪はいただけませんね〜。


 咄嗟に指輪を隠すイデア


 セシリア:今更隠しても無駄でござんすよ♪指輪の種類は赤色が血縁者、青色が騎士団長、黄色が騎士団員。そこから考えて旦那の指輪の色は青、つまり騎士団長様って事でござんしょ♡


 イデア:フッ、飄々ひょうひょうとしていてなかなか油断ならない奴だ♪


 セシリア:そりゃあ、私はこの国の外交大臣になる者でござんすからね。話す相手は話す前に先ず話のネタと情報は命でござんすから♪


 イデア:そうか。


 セシリア:ときに、再びこの国で騎士団長になる気は無いですかい?


 イデア:私が?


 セシリア:ええ、この国の魔王イザベラ・ヘルベルト女帝陛下は稀代の切れ者で有名ですが、いかんせん護身術はおろか、運動はからっきしと聞きます。国の治安の公安大臣とは別に騎士団は必要でござんすからね。


 イデア:・・・・・


 セシリア:ま、すぐ答えを出せとは言いませんよ。


 イデア:・・・・いや、行く。元々この国に仕官しに来たのだから。


 セシリア:それは良かった!さ、気が変わらぬ内に参りましょ、参りましょ♪

 ♪


 イデア:ま、待て待て!せめて食事を済ませてからにしろ!


 2時間後 宮殿謁見の間


 イザベラ:迎えに行かせたのに遅刻してごめんなさいね。


 エリ:申し訳ありません。


 カグヤ:まぁ、無理もない。アサギのいない分の仕事もやっているのだ。許してやってくれ。


 セシリア:い〜え〜!2人分の仕事をやってのけるエリさんの手腕には脱帽ものでござんすよ!それより、お近付きの印にチョイと手土産を・・・さ、イデアの旦那!入っておくんなせ〜♪


 イザベラの前に跪くイデア


 イデア:ミシュトラン大公家が近衛騎士団『界樹騎士団かいじゅきしだん』が元騎士団長イデアにございます!


 イザベラ:話は聞いている。ミシュトラン大公家に仕える者は料理の腕も一流料理人クラスとも聞き及んでいるわ。


 セシリア:え〜え〜、その通りでござんす!近衛騎士団になれば陛下のお夜食も作ってくれるのでこれ以上にない逸材かと♪


 イザベラ:そうね、専属シェフの負担も軽減されるから有り難いわね♡じゃ、貴女と共に明日から職務に就てちょうだい♪


 セシリア:ありがとうございやす♪


 イデア:誠心誠意勤め上げる所存!


 セシリア:イデアの旦那、堅い硬い♪


 イデア:お前が軽すぎるんだ!


 イザベラ:フフッ、賑やかになりそうね♪


 カグヤ:ああ♪


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