第29話目覚める真機

 アオイ:パンドラ連山地下遺跡より発見された『ヴァルキリー真機』何をやっても一向に目覚める気配のない状態。そこで過去の例に従ってもぐもぐガールズを呼ぶものの、誰一人反応しなかったのです。


 魔界時間12:57 帝都ジュエルロード 国立研究所 特別研究棟


 イザベラ:杏ちゃん達は帰った?


 太郎:ああ、魁桜国に戻ったよ。


 イザベラ:過去の例から考えて幼女に反応すると思ったんだけど、全くの反応ナシね。


 太郎:核に組み込まれている遺伝子データが全く違うからね。


 イザベラ:アリスさんの所のシキも違うんじゃなかったっけ?


 太郎:ああ、タイプ0、いわゆる『プロトタイプ』のシキも基礎遺伝子データが違うから幼女に興味がなかったのが後々の検査で分かったんだ。


 イザベラ:『タイプ1』以降の変態ロリコンヴァルキリーは完全にアテナ様の影響よね。


 太郎:そうだね、『タイプ1』以降の核に組み込まれている基礎遺伝子データは元14天界王であるアテナ様の変態遺伝子がガッツリ入ってる。


 イザベラ:じゃあこの真機とアリスさんの所のシキさんは誰の遺伝子データが組み込まれてるんだろう?


 太郎:さあね、兎に角一つ一つ試してしらみ潰しにやるしかないよ。


 宙に浮いたモニターに映る警備員


 警備員:女帝陛下。


 イザベラ:ん?


 警備員:帝王都サタンヘイルダムより黒耀銀行こくようぎんこう総裁のカズクラフト様がお見えになっておりますが如何致しましょうか?


 イザベラ:会う約束なんてしてないけど。


 太郎:ああ、それは私だよ。国の財政が安定してなかった時に国債を発行しただろう?


 イザベラ:ええ、今は宝石輸出事業で成功して完済したけど。


 太郎:その際ついでに黒耀銀行に個人口座を開設の申請をしててね。その正式な手続きで来てくれたんだ。


 イザベラ:そういう事ね。良いわ、警備員さん通して。


 警備員:承知致しました。


 5分後・・・


 エリカ:この度は当行への口座開設ありがとうございます♪


 ミルフィー:ばぶぅ♪


 イザベラ:あら可愛い赤ちゃん♡貴女の子ですか?


 エリカ:いえ、幼馴染の子で。裁判の証人として出廷するにあたって忙しくなるらしいので預かっているんです。


 ミルフィー:あ〜い♪


 真機が僅かに反応する


 太郎:これは・・・イザベラ。


 イザベラ:ん?


 太郎:その子を真機に近づけてみてはくれないかい?


 イザベラ:この赤ちゃん?


 太郎:そう。


 真機の入った培養カプセルにミルフィーを近づけるエリカ


 ミルフィー:う?


 ミルフィーを近付けた途端に真機が激しく反応する


 太郎:イザベラ、どうやらこの子で『当たり』のようだ♪


 イザベラ:あ、真機が目を覚ますわ!


 培養カプセルから出た真機はミルフィーを抱き抱える


 ミルフィー:あ〜ぶぅ〜♪


 真機:私を眠りより呼び醒ましたのは貴女ですね?


 ミルフィー:あ〜い!


 真機:貴女を私のマスターと認めます。私に名前をお授けください。


 ミルフィー:う?


 エリカ:いやいや、赤ちゃんにそれは無茶振りでしょう。


 ミルフィー:あ〜・・・う〜・・・う?・・・あ〜い!


 真機:・・・・神の門番の意味を込めて『神門みかど』ですか。素晴らしいネーミングセンスです。気に入りました♪


 ミルフィー:う〜♪


 エリカ:え?今のそんな事言ってたの⁉︎


 神門:やれやれ、マスターの言う事が分からないとは情け無い。


 エリカ:いや、誰だって赤ちゃんの言葉なんて分かんないって!分かるのは母親くらいよ。


 ミルフィー:う〜。


 神門:え?『お腹が空いた』ですって?承知致しました。


 ミルク入りの哺乳瓶を出す神門


 エリカ:あ、その子フィローネの母乳以外のミルクは結構味にうるさいわよ。


 ミルフィー:クンクンクン・・・・!


 勢いよく飲むミルフィー


 ミルフィー:んく・・・んく・・・んく・・・プッハ〜♡


 イザベラ:へぇ〜、その子の好みの味よく分かったわね。


 神門:姫様の従者なら当然です。


 ミルフィー:ぷお!


 神門:抱っこですか?


 ミルフィー:あい!


 ミルフィーを抱き抱える神門


 ミルフィー:ぶ〜ぶ〜あぶぅ♪


 神門:『ここを定位置とします』と?なんたる光栄♪


 ミルフィー:うきゅ〜。


 神門:え?『おネムの時間だから寝る』ですか?


 ミルフィー:あい〜。


 警備員:研究所の北棟に子連れの研究者のためのベビーベッドのあるフロアがあるのでご案内します。


 神門:さあ行きましょう姫様♪


 ミルフィー:あい。


 研究棟を出る神門達


 エリカ:えっと・・・じゃあ、手続きをしましょうか。


 太郎:あ、ああ。



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