第15話封鎖区画の幽霊船

 アオイ:皆さんは本編に登場した旧ジュエルスター王国を覚えてますか?そう、ヘルベルト帝国が建国される以前にあった宝石の国です。シルフィード王国の海に沈没した『ダイヤモンズキング号』そしてヘルベルト帝国領内にも旧ジュエルスター王国所縁の地があるのです。


 魔界時間14:00 帝都ジュエルロード 宮殿 女帝執務室


 イザベラ:封鎖区画?・・・ああ、あの『小惑星』の事ね。


 アサギ:はい、常に陽の当たらない深くて濃い霧に覆われたあの不気味な小惑星です。


 エリ:そこに何があるのです?


 執務室中央に浮く液晶モニターに地図を投影するカグヤ


 カグヤ:人間の太郎には馴染みはないと思うが。魔界の国土は大陸に幾つも国があるのではなく『惑星丸ごと』1つの国の国土なのだ。その周辺の小惑星もまた国土争奪戦争で勝利する度に相手の国の国土が小惑星となって、規模によっては大きな惑星が転移してきて自国の国土となる。


 地図の一部を拡大するカグヤ


 カグヤ:アサギの言っている問題の封鎖区画というのはこの小惑星だな?


 アサギ:そうです。


 太郎:陸続きの地球の地図に馴染んでいたせいか、やはりこの惑星1つ1つが一国の国土とは未だに実感がわかないというのが現状だ。それで?この星の問題とは?


 カグヤ:アサギ。


 アサギ:はい。実は近隣の帝国領を巡回していた航宙巡洋艦から偵察用ドローンの映像に所属不明の船舶の影を捉えたと申しておりまして。


 カグヤ:彼処は封鎖区画だから当然住民は居ないのだろう?


 アサギ:はい。


 エリ:先輩、その小惑星は元々どんな星だったんですか?


 アサギ:それ気になってあの辺一帯の過去の文献を調べたらあの星は遥か昔にあった宝石産出超大国の旧ジュエルスター王国の領土だった星みたいなの。


 カグヤ:あの国は色々な噂の絶えない国と聞いている。私の記憶が確かならあの国は『次元大震災』によって滅亡したんだったと思うのだが。


 アサギ:カグヤ様の言う通りです。あの封鎖区画の小惑星こそ、次元エネルギー精製プラントのあった次元大震災の爆心地です。それ以来分厚い次元空間の壁が日光を遮りあのような感じになったそうです。


 エリ:それなら船舶はおろか、知的生命体や魔獣すら生きていられないですね。


 太郎:まさに『幽霊船』


 エリ:や、やめてください!憂鬱大臣!


 アサギ:もしかしてエリちゃんそういうの苦手だったりする?


 エリ:昔から幽霊の類が苦手なんです!


 アサギ:結構可愛いとこあるね、エリちゃん♪


 イザベラ:ともあれ気になるわね、それ。


 太郎:もしその幽霊船の動力機関が次元エネルギーを使うものだとしたら、次元エネルギーが常に充満しているあの小惑星だと、自動航行システムと自己修復システムが生きてる可能性が高いな。


 カグヤ:まさに『幽霊の正体見たり枯れ尾花』だな♪


 太郎:この2つが稼働していたら半永久的に座礁する事なく航行出来る。


 イザベラ:兎に角この件は軍務大臣を確保してから太郎の化学省と協力して調査しないといけないわね。


 太郎:そうだな。




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