第8話迫るアサギの秘密

 アオイ:偶然アサギさんの正体を知ったエリさん。誰かに相談する事も出来ず、話せば闇に葬られるかもしれないと恐れて日々悶々と過ごしていました。


 魔界時間14:00 帝都ジュエルロード 宮殿 女帝執務室


 イザベラ:ねえ、エリ。


 エリ:は、はい何でしょう!


 イザベラ:最近誰かに何か口止めされてる事ない?


 エリ:そ、そそそ、そんな事ありません!


 イザベラ:隠さなくても良いわよ、薄々気付いてたし。『あの女性ひと』に悟られないように調べてたのだから。半兵衛さんにも知恵を借りてね♪


 エリ:え?『あの女性』って、陛下より年上なんですか⁉︎


 イザベラ:履歴書には190歳と私より年下って事になってるけど、本当の歳は230万歳よ♪


 エリ:に、230万⁉︎


 アオイ:魔界では190歳が19歳ですから230万歳は人間の歳でいうと230歳ですね。


 エリ:黒装束の女性はアサギ先輩が魁桜国かいおうこくの天皇に即位しなかった事を悔やんでいたようですが。


 イザベラ:それは違うわエリ。『即位しなかった』じゃなくて『即位出来なかった』のよ。ね?半兵衛さん。


 半兵衛:どうやら天皇即位の試練で何者かに妨害されたそうですよ。


 エリ:妨害?


 カグヤ:まだ誰かまでは突き止めていないが、おそらく黒幕は現天皇の揚羽。


 エリ:どうしてそうまでして。


 太郎:揚羽天皇は色欲の塊のような御仁と聞く。己の側に好みの女をはべらすためには姉であり次期天皇のアサギさんがどうしても邪魔だった、そういう事さ。


 エリ:それだけのために・・・


 イザベラ:アサギさんが即位していたら間違いなく稀代の天皇だったでしょうに。ま、これは身内同士の問題だから今はそっとしておきましょう『今は』ね♪


 カグヤ:どうせお前の事だ、もう手を打っているんだろう?まだ機が熟していないから『今は』と言ったのだろう♪


 イザベラ:ご名答♪さ、午後の公務に戻って♪


 部屋を出る一同


 黒衣の妖狐:陛下。


 イザベラ:首尾は?


 黒衣の妖狐:陛下の御賢察の通り、天眼てんがんの義を受ける試練を影で妨害した黒幕は揚羽天皇でした。


 イザベラ:思った通り・・・か。でも『真の黒幕』ではないでしょう?


 黒衣の妖狐:流石、そこまでお見通しでしたか♪その通りでございます。ですが、なかなか尻尾を出しません。


 イザベラ:これはその黒幕との根比べ。引き続き揚羽天皇を見張っていなさい。黒幕は近いうち必ず接触してくるわ。そう、『近いうちに』ね♪


 黒衣の妖狐:はっ。


 音も無く部屋を出る黒衣の妖狐入れ替わりにアサギが入る


 アサギ:あれ?皆さんは?


 イザベラ:入れ違いだったわね、皆んな午後の公務に向かったわ♪








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る