第7話女帝生誕祭の旅芸人

 アオイ:人間の皆さんの人界でも建国記念日や建国した王様の生誕祭ってありますよね?今回はそんなイザベラ女帝陛下の生誕祭のお話です。


 生誕祭2週間前 帝都ジュエルロード 宮殿


 イザベラ:私の生誕祭?別にいいわよそんなの。


 アサギ:いけません!どの国にも建国記念日や建国した魔王様の生誕祭をやってますし、それは後々の世のためでもあるのですよ!


 エリ:先輩の言う通りです。後々の国の発展での士気を高める事にもなります。


 イザベラ:だったら建国記念日だけでいいじゃない。


 カグヤ:そんなに恥ずかしいか?自分の誕生日を祝ってもらうのが。


 イザベラ:今の民衆なら私を知っているだろうけど、後世で私を全く知らない人から見れば・・・ね?


 太郎:だが君の生誕祭に加え建国記念日を国民の祝日にすれば連休が出来て喜ぶのはその後の世の君を知らない者達ではないのか?


 イザベラ:うぅ。


 アサギ:じゃ、決まりですね。忙しくなるよエリちゃん♪


 エリ:はい♪


 そして現在 魔界時間10:00 女帝生誕祭当日 宮殿バルコニー


 イザベラ:うっ、これはまた盛大にやってるわね。


 カグヤ:それだけお前を支持しているという事だろう♪てかお前、実はこういう賑やか過ぎるの苦手だったりするだろ。


 イザベラ:アッハハ、やっぱり分かる?


 カグヤ:何百年の付き合いだと思ってるんだ♪


 イザベラ:ま、そうね・・・ん?あれ何?


 カグヤ:ん?何処だ?


 イザベラ:ほら彼処、中央広場のアレ。


 同時刻 帝都中央広場


 マンドラゴラ族の男性?:さあさあ、ちびっ子達も親御さんも寄っといで!楽しい人形劇がは〜じまるわよ〜ん♪


 子供:わ〜い!


 母親:へぇ〜、このご時世に人形劇って珍しいわね〜。見ていこうかしら♪


 男性:どんな話だい?


 マンドラゴラ族の男性?:今日のお話はかつてこの地にあった魔王様のお話。


 宮殿バルコニー


 集音機能付きオペラグラスで見るイザベラ


 イザベラ:⁉︎


 カグヤ:どうした?


 イザベラ:アサギ!


 アサギ:あ、はい!


 イザベラ:あの中央広場の旅芸人をここに呼んで、今直ぐ!


 アサギ:しょ、承知しました!


 中央広場


 衛兵:失礼、ここを通してくれ!


 マンドラゴラ族の男性?:昔々、あるところに・・・ってチョットそこの衛兵さん。割り込みはやめてちょうだい!


 観客達:そ〜だ、そ〜だ!


 衛兵:きゃ、客じゃない!女帝陛下が貴公を呼んでいるのだ、直ぐに宮殿に来たまえ!


 手を掴もうとした時手にしていた人形がその手から離れる


 衛兵:・・・あ。


 マンドラゴラ族の男性?:いーーーやーーーー!返して!アタシの人形返してよーーー‼︎


 大音量で叫び暴れるマンドラゴラ族の男性?


 衛兵:うわっ!なんて声量だ!み、耳が持たん!わかった、返す、返すから静かにしろ!


 20分後 宮殿謁見の間


 イザベラ:先ずは私の呼び出しに応じて感謝致します。私はヘルベルト帝国女帝、イザベラ・ヘルベルトです。


 クロッキー:これはこれは、女帝陛下御自らのご指名光栄にございますわ♪アタクシはクロッキーと申します。ナレーターさん、アタシの紹介ヨロシク♡


 アオイ:は〜い、この方は人型マンドラゴラ亜種のクロッキーさん。人形劇を生業とする旅芸人です。


 クロッキー:ありがと♡それで、アタシを呼んだのはどういった御用向きで?


 イザベラ:貴方を此処へ呼んだのは中央広場でやろうとした人形劇の内容についてなのですが。


 クロッキー:ああ、アレですか。実はアタシ、元はこの地の出身なの。かつてのこの地にあった故郷の事を忘れないためにもたまにやってる事なのよ♪


 イザベラ:その人形劇、ここでやってくれますか?勿論、全国ネットでこの国の人々にも伝わるようにしたいのです。かつてこの地には貴方が生まれ育った大事な国があった事を。


 クロッキー:陛下・・・ありがとうございます♪では早速・・・


 人形劇の準備をして始めるクロッキー


 クロッキー:昔々、この地にはフォーチュンネスト公国という国がありました。当時この国で採れた宝石は占いの道具だったの。


 イザベラ:フォーチュンネスト公国、かつての魔界宇宙一の占星術超大国。


 クロッキー:中でもクロノタイトは最高位の占い師のみが持つ事を許された特別な宝石でした。


 カグヤ:時を操るあの宝石なら未来予知も可能だからな。


 クロッキー:ある時、1人の占い師が魔王様の前に現れてこう言ったの『クロノゴンにクロノタイトを与えてください。そうすればこの国は更なる発展が期待できるでしょう』ってね。


 イザベラ:クロノゴン、今はシルフィード王国の巨獣になったけど、それまでは南海リゾート超大国シーラント諸島連合国を起点に回遊するドラゴン種の巨獣だったわね。


 クロッキー:でも本当は『絶対にクロノゴンに与えてはいけない』ものだったの。


 カグヤ:それは一体どういう・・・


 太郎:聞いた事がある。クロノゴンがクロノタイトを食べると暴走して大規模な時空震が起こる・・・だった筈。


 クロッキー:国の安寧あんねいと発展を願っていたフォーチュンネスト公王様は回遊してきたクロノゴンに大量のクロノタイトを与えて暴走してしまったの。


 カグヤ:ただでさえ少量でもとんでもない時空震を起こすのに大量に摂取したら・・・


 太郎:次元大震災クラス・・・いや、それ以上の大災害になる。


 クロッキー:万が一に備えクロノゴンに与える前に自分以外の重臣、臣下、国民を全て避難させていたから死者、行方不明者は出なかった・・・公王様を除いて・・・


 イザベラ:国のトップである魔王を失った事で国は事実上滅亡した・・・か。


 カグヤ:でも万一に備えて自分以外を避難させるところが如何に国を愛し想っていたかが伺えるな。


 クロッキー:ありがと♡その後家臣達は魔王具の破片を集めて新たな魔王具を作って神殿に安置したの。この国を真に愛し想ってくれる魔王様に使ってもらうために。このお話はこれでおしまい。最後までご静聴ありがとうございました♪


 周囲から拍手喝采が聞こえる


 イザベラ:貴方はこれを私に聞いてもらうために私の目にとまるよう『わざと』中央広場で披露したのね♪


 クロッキー:流石は音にも聞こえた妖怪軍師の異名を持つ九尾族ご名答ですわ♪


 イザベラ:その魔王具の名は?


 クロッキー:『軍神の軍配』です。


 カグヤ:どうやら占いでイザベラがこの地の魔王になるのを見越して作ったようだな♪


 イザベラ:それじゃあ、有り難く使わせてもらうわね♪


 クロッキー:その方が亡き公王様もお喜びになりますわ♡
















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