その2 ゲームマスターはゲーム下手
何とか気を取り直して作戦に移る。
「さて、それなら僕にその能力を発揮して貰おう。僕は魔法心理職だから判定魔法も持っている。でも残念ながら魔法では神から与えられた力は判定できないようだ。
まずはその『闇のゲーム』だ。そして僕が負けた際のペナルティは僕の今日の財布の中身という事にしてくれ。無論ゲームに僕が負けても僕が素直に財布を渡すわけじゃ無い。あくまで闇のゲームの強制力を使って財布の中身を奪ってくれ。
女神から与えられた力があればそれくらいは出来るだろう」
「当然」
自信があるのはいい事だ、きっと。
その自信が意味のあるものならば、だけれども。
「それで闇のゲームをするに当たってはどんなゲームがいいかな」
「演技王カードのカードバトルがいい」
「演技王ね」
こういう時に備えてかどうかは知らないが、ここには色々なものが揃っている。
カードゲームにおいても然り。
そんな訳で俺は部屋の戸棚から演技王のデッキを取り出す。
「こっちは第四期のレギュラーパックでデッキを組むけれどいいかな。一般的なカードだけでいわゆる禁止カードは入っていない。あとポイント制は無しで」
「それだと僕が大分有利になる」
「それは構わないさ。年齢差のハンデだと思ってくれ」
何せ勝って貰わないと闇のゲームが発動しないようだから。
俺は負けた方が話は楽なのだ。
「ルールはトリプルリンクスの通常デュエルでいいな」
「ああ」
「じゃあデュエルフィールドを置いておくぞ」
ゲームに付属の紙をテーブルに置く。
「じゃあ俺のデッキをカットしてくれ」
そんな訳で、
「闇のゲームの開催を宣告する。ゲームは演技王トリプルリンクス通常デュエル」
スタートした。
ジャンケンの結果、俺が先攻。
「まずはデッキからカードを一枚ドロー」
ゲームは始まる。
そんな訳で
「
「うわあっ」
うめきを上げたのは少年の方だ。
つまり俺が勝ってしまった。
こいつ、ゲーム無茶苦茶弱いな。
俺より遙かに強いカードを持っているのに全然それを活かしていない。
「どうする。この場合はペナルティはあるのか」
「自分に降りかかる場合は闇のゲームを取り消す事が出来る。大丈夫だ」
随分都合がいいルールだ。
まあいい。
いや良くないか。
「でもこれでは『闇のゲーム』の威力がわからないな」
「もう一度だ!」
仕方無い。
今度はわざと負けるよう心がけよう。
ついゲームとなると本気でやってしまうのが俺の悪い癖だ。
今回は負ける事に意義がある。
そんな訳で第二回戦。
「
ほっ、無事負けた。
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