手紙

「龍喜君へ

 龍喜にとっても楽しい場所に案内します。この手紙を読んだ次の日の今日と同じ時刻にまたこの部屋へ来てください。」

 僕は不思議に思った。実際は心肺停止じゃないのかなと思ったのだが、まさか機械を騙せるわけがない。なら遺書か。遺書なら都合が合う。事故のように見せかけて、実際は薬物を飲んで自殺未遂をした。それで那美は僕と一緒に天国へ連れて行こうとしているのかな。と思った。だけどそんなん僕は許さない。早く元気になって、また遊ぶ。と心に決心した。だけど、そんな風に思えたのも夜のうちだけ。朝になってくるとだんだんと体の調子が悪くなってきて、昨日の那美と同じようなことが自分にも起き始めた。そしてその日の学校を休み...


「あれっ...ここはどこだ。」

 意識が戻ったと思ったら四方八方真っ白な世界。

「えっ...これってまさか天国?」

「違いますよ。」

「えっ...誰...那美?」

「違います。覚えてないんですか?」

「覚えてないです。あなたが誰かなのかさえわからないです。」

「わかりました。そしたらわかるようにしてあげましょう。」

 そして体がもぞもぞした。

「どうですか。私に事がわかるようになったでしょう。」

「あっ...もしかしてあなたは僕に生命をくださった、アーノンさんですか?」

「はい。そうです。今あなたは現世にいて疲れていたようなので、別世界へご招待しました。」

「で...今あなたは僕に何を...」

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