ナミダディライト






※この小説には

・オリキャラ・オリ設定

・クソ文章


などの成分が含まれています。

オリキャラと設定については

こちら二作品のものです。


獣人の楽園

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884938234


カミヒトエの色

https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054886502507


今回は現行作カミヒトエの色を読んで下さっている方でないと分かりにくい物になっておりますので、世界観を楽しみたい方は、

是非読んでいただけると嬉しいです。





本編どうぞ。


_________________________



























俺は______



「はーいシキ君?とーんとーん……。」



______どうすればいい。



































































________________
















きっかけは知人とキャンプに行った今日のことだ。


クッキーでも食べながら雑談でもするかなんて優雅な時を過ごしていたウチに、健康の話が始まった。


俺はよく徹夜をする、という話は知り合いには知れ渡ってしまった話なのだが、その話をしているときジェーンさんに知人のKくんとKさんがこう言った。


「あなたが寝かしつけてやったらどうだ」

と。


返答に困った俺とノリノリのジェーンさん。

丁度ここ数日まともな睡眠を取っていなかった俺は為す術なく叩きつけられるように布団に寝かされたのだった。


















________________











「あの……………」


そして、


「…寝られないんですか?」


今に至る。



いや、寝られるわけない。

いつもと違いすぎる。

いつもでちゃんと寝られるんだ。

ただ俺が寝ないだけなんだ。

それが問題なのだけど、

それの解決とは違う……。


「なでなでの方がいいですかね…?」


彼女は普段の素手が包まれているあのペンギンの毛皮ではなくて、可愛らしいぶかぶかの寝間着を着ている。故に今彼女はきめ細かく綺麗な白い肌で俺の頭を撫でている。


…なんか心地よくなってきた。


あたたかい彼女の手がゆっくりゆっくり丁寧に撫でてくれる。

ぽんぽんとんとんされている時のあのこっぱずかしい感じもあるけれど、それ以上にすごく安心する。

するようになってしまった、

と言うべきか。

まるでこう、母のような。

もっとも俺は姉を思い浮かべるが。


少しだけ、目を閉じてみた。

感触がより鮮明に伝わってくる。

やわらかく、あたたかい感触が、

とん、と乗っかる。

全く単純な奴だと自分で思うよ。


「…あ、落ち着きます?これ。」


声で目を開けた。

俺の隣で横になり、頭を撫でてくる彼女が少し楽しそうに見えた。

俺の反応を見て楽しんでいるのだろうか。

今、鏡を見て己を分析したらやばそうだ、

三日は見れなくなるぞ鏡。


「寝られそうですか?」


「えぇ、結構寝られそうです。」



そう、思っていたよりもイイ。

赤ん坊の心になれそうだ。

寝言で変なこと呟かないたり、変な夢を見ないか心配だ、

たとえば獰猛なゴリラの夢なんて見たくないし、とても早いジェット機の…夢はちょっと見てみたいかもしれない。かっこよさそうだ。


そういえば小さい頃俺は何になりたかったんだっけ。

夢らしい夢はなかったように思う、

なんか漠然とした不安の風に吹かれて凧のようだった気もするし、それはただ単に何も考えていなかっただけのようにも思う。


「…シキ君、ホントに寝たほうがいいですよ?流石に何もないのに涙が出るのはまずいです、重症ですよそれ。」


「え…涙?」



気付かなかった。


涙が

出ていた。


「あぁ、気付かなかったです。ホントですね」



自分の服の袖で流した温い涙を拭いた。


「ごめんなさい、さっさと寝ます。」


「あ、無理して寝ようとすると寝られないそうですよ?」


彼女に背を向けるようにして寝ようとした瞬間こんな事を言われて、ゆっくりと寝返ろうとする俺の身体は元の向きに戻った。


「…やっぱり、いつも通りの方が良さそうですね」


そういうと、彼女は俺をゆっくり抱きしめた。

母や姉のようなものではなく彼女としてのハグ。

心地いいのは抱かれ心地だけじゃない。

雰囲気が好きなのだ。

暗い部屋の豆電球一粒ぽっちの灯りさえなにもないまま、彼女と抱き合う。それとない日々の夜が落としていく涙が喜びへと化ける。

ここにいることで感じる幸福。

何度ここから時間がせめて一秒でも遅くなれと願ったものか。




「あぁ。私も眠いかも…。」


珍しい敬語のない彼女はあくびと共に涕をこぼした。

口元を手で押さえるのは忘れないのに、あくびと共に動き、油断した瞳の落としていった涕を見て少しだけ可笑しくなった。

なにが面白いんですかぁとまだあくびの余韻に声を殺されている彼女はその涕を俺の胸の辺りに顔を埋め寝間着でふき取った。



「ん~………はぁあ。」



昼間のキャンプで疲れたのだろうか、

彼女は確かに楽しそうだった。


「私が先に寝ちゃう…」


それだと意味がないですね、まで言っていたら多分ここから俺を寝かしつけてくれるルートのフラグだったのだろうけど、それを言わなくなって帰ってきた信号はすぅすぅ言う寝息だった。








まぁ…

…やっと寝られる。


俺は、彼女の安心した寝顔を見ないと寝られないのだ。

いつか離れ離れになる時がくるかもしれないと考えると寝られない、俺を夜が通り過ぎて行ってしまったらもうここに帰って来られない。徹夜癖とそれとこれとは特に関係ないのはその通りだけれど、普段眠るときは殆どそうだ。


「…あぁクソ、参った。」



普段はジェーンさんの顔のかわいらしさについて熟考した結果かわいいにそれ以上の意味を見いだせないまま眠ったり、何故首筋にかいた汗の匂いが芳香剤や入浴剤の薬品的な香りとは違う、例えるならパンのにおいのような安心するいい匂いなのかと熟考して結果結論『彼女の匂いだから』というくそしょーもない結論で優勝したり勝手にたまげたりQEDなどと叫んだりしている俺だが今日は妙な事を考えてしまったが為に寝られない。


こんな時、君ならどうするんだろう。


俺をたたき起こすのだろうか、

独り言を俺のようにつぶつぶブツブツならべて

くそしょーもない結論で勝手にたまげたりするのだろうか。

答えてくれる君はもう眠ってしまった、

この独り言にはもう慣れた。































俺は起こさないようにだけ気を付けて、

ベッドを抜け出して、

自室のパソコンに向かった。




なんだか心が落ち着かなくて、

いま思っていることを全部全部書いた。

誰かがこれを見る時、

俺はこれの存在を忘れているかもしれない。


忘れてていいや、

普段使わないファイルの奥底にしまい込んでおいた。



まだ心はなにか言いたげだったけれどもういい。






もし、これから、

なにかあって、

何かが変わっていったとして、


無責任に君を思い出したら

君は許してくれるだろうか。










パソコンの電源を切って水を飲んだ


ベッドの君が

「シキ君…?どこ…、です…、……か?」

と眠ったまま呟いた。






俺は何も言わずに君を抱きしめて寝た。










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