第11話

一日が長い。


日付の変化は、宇崎が来ることでわかる。


しかしそれがどうしたと言うのだ。


何かしなければならないこともなく、何かしたくてもなにもない。


テレビもスマホもその他なにもかも。


何処見ても灰色の壁と床と天井しかなく、何を言っても誰も答えてはくれない。



目覚めてベッドに座っていると、宇崎がやって来た。


「下がれ」


数日前、思いつく限りの罵詈雑言の嵐を宇崎に浴びせたら、そのかわりに木刀の嵐のような攻撃を、全身に浴びるはめとなっていた。


体中のあちらこちらにまだ痛みが残っている。


俺は黙って下がった。


宇崎はいつものように着替えと食事を台車から下ろすと、食器や下着を台車に乗せて出て行った。


俺は今日のメニューを見た。


サラダ、野菜の煮物、パン、ご飯、焼き魚、煮魚、野菜しか入っていないシチュー、焼き豆腐、チョコレート、おかき。


同じだ。


毎日ほぼ同じなのだ。


栄養的には問題がないのだろうが、俺にとっては大きな問題があった。


とてつもなく大きな問題が。


そう、ここに閉じ込められてから、俺は一切れの肉も口にしていないのだから。

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