初夢

 目が覚めると、外はまだ真っ暗だった。昨日寝たのは午後九時頃。いつもより三時間以上早く寝たため、起きたのはいつもの三時間前、午前三時だった。ふわふわとした感覚でまだ夢の中にいるようだった。今見ていた夢はなんだっけ。思い出せないが、胸がドキドキしている。楽しい夢だったのだろうか。怖い夢だったのだろうか。まあ、覚えていないから、どちらでもいい。外はとても冷えているようだったが、起き上がって窓を開けた。澄んだ空には星が輝いていた。指を伸ばして、星を結んだ。空には大きなオリオン座が浮かんでいた。君から聞いた神話。オリオンはさそりに殺された。星になってもなお、さそりが恐ろしく、夏の空に浮かぶさそり座から逃げるように、冬の空に浮かんでいる。さそり座の君は、夏の空に浮かんでいるのだろうか。だとすれば私は、さそり座から逃げるのではなく、追いかけても追いかけても届かないオリオン座なのだろうか。

「って、私はおうし座じゃない。」

自分の考えが馬鹿らしく、自分で笑ってしまった。そしてもう一度空を見上げた。

「オリオン座…」

 小さく呟くと、自然と涙が零れた。真っ直ぐに空を指さした。空の向こうにいる君に、届きそうな気がした。夏が来るのがとても遠く感じた。

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