巻45 劉裕軍団トップ武将

檀韶1  傲慢な長男   

檀韶 全2編

 既出:劉裕16、劉裕68

    徐羨之4、檀道済1



劉裕りゅうゆうの武勲を支えたのは、

まちがいなく、高平こうへいだん氏である。


そんな檀氏は檀道済だんどうさいを筆頭とし、

三人もが立伝されている。

琅邪ろうやおう氏、陳郡ちんぐんしゃ氏を例外とすれば、

かなり凄まじい登場件数だ。


そんな檀氏兄弟の長男、

檀韶だんしょうについて語ろう。


檀韶、あざなは令孫れいそん

代々京口けいこうに住んでおり、

劉裕ともかなり親しい間柄だった。


そんな劉裕が桓玄かんげん打倒を謳うと、

檀韶は弟の檀祗だんき、檀道濟らとともに

京口、建康けんこうの平定に尽力。その功績から

劉裕の幹部として取り立てられた。


南燕なんえんを制圧するにあたっては

向靖しょうせい胡藩こはんなど五十人を率い、

臨朐りんく城を陥落させる功績を挙げる。


だが、南燕首都の廣固こうこ城戦。

劉裕が構築していた包囲網のうち、

檀韶が担当していたあたりに、

慕容超ぼようちょうが夜襲を掛け、設備を焼き払った。

この失態から、降格させられた。


失態を取り戻すべく、檀韶は兵に率先し、

廣固城の城壁を攻め上るのだった。

そしてその日、廣固城は陥落。


次いで起こった盧循ろじゅんとの戦いでは、

追討戦のうち、特に左里さりにて

大功を上げた。


が、間もなくして建康城の中心部、

臣下たちが本来、いつも頭を低くして

いなければならないようなところに、

よりにもよって、輿に乗って乗り込む。


バカじゃねえのかお前ということで、

真っ白な服装、要は

「私は今、ペナルティを受けていますよ」

とぱっと見でわかる格好で

職務に携わらねばならなくなった。




檀韶,字令孫,高平金鄉人也,世居京口。高祖建義,韶及弟祗、道濟等從平京城,行參高祖建武將軍事。從征廣固,率向彌、胡藩等五十人攻臨朐城,克之。及圍廣固,慕容超夜燒樓,當韶圍分,降號橫野將軍。城陷之日,韶率所領先登。從討盧循於左里,又有戰功,並論廣固功。坐六門內乘輿,白衣領職。


檀韶は字を令孫、高平の金鄉の人なり、京口に世居す。高祖の義を建つるに、韶、及び弟の祗や道濟らは京城を平らぐに從い、參高祖建武將軍事に行せらる。廣固を征せるに從い、向彌、胡藩ら五十人を率い臨朐城を攻め、之を克す。廣固を圍むに及び、慕容超は夜に樓を燒き、韶の圍みたる分に當らば、號は橫野將軍に降ず。城の陷ちたる日、韶は領したる所を率い先に登る。盧循を左里にて討ちたるに從い、又た戰功有り、廣固が功と並べて論ぜらる。六門が內にて輿に乘りたるに坐し、白衣にて職を領す。(宋書45-16_簡傲)




檀道済、王鎮悪おうちんあくと言う劉裕武閥の金看板を例外とすれば、最初にでてくる劉裕配下将がこの檀韶。おそらく強いことは強かったんだろうが、この短い文章の中で盛大なポカミスとかそれを挽回するための活躍とか、しまいには謎のはっちゃけとか、ちょっとムラがひどすぎる。


そういや劉裕もわざわざ遺詔で「いいか、檀道済は檀韶みたいにクソ面倒なやつじゃねえからな、よくあいつに頼れよ」って言ってましたよね。どんだけフリーダムだったねんってゆう。


世説新語せせつしんごに登場できてたら、きっと王徽之おうきし謝万しゃまんみたいな存在感を主張できてたろうになぁ。ただ残念なことに、ゴミ家門(※当時代比)の高平檀氏では世説新語には載れないのでした、残念ッ!

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