王鎮悪3 劉毅強襲作戦謀議

劉裕りゅうゆう劉毅りゅうきを討とう、と

計画を練っていたとき、

王鎮悪おうちんあくが名乗りを上げる。


「公よ、私に百艘の水軍を任せ、

 前鋒に任じては頂けますまいか?」


折しもその頃、劉毅が病気になる。

このままでは職務を全うできないと、

劉毅、いとこの劉藩りゅうはんをサポート役として

派遣してほしい、と願い出る。


そんなことをしたら、

劉毅の勢力を高めてしまう。

本来だったら、到底認めようがない。


だが劉裕、これを表向き承認した……

もっともその裏では、劉藩を投獄、

更には殺害しているのだが。


九月二十九日。

劉裕は長江ちょうこうを少しさかのぼり、姑孰こじゅくに。

そこで王鎮悪に、蒯恩かいおんが率いていた

水軍百艘を預けた。


「もし俺が攻め上ってくると

 劉毅が知ったら、

 お前たちも長くはもたないだろう。


 いいか、無闇に上陸して、

 軍を編成しよう、などとは思うな。


 奴らが迎え撃ってきそうなら、

 逃げることを考えろ。

 船は焼き捨て、小回りの効く舟に移り、

 俺の到着を待つんだ。


 その上で、周辺住民の慰撫に努め、

 世論形成を図れ。言うべきは、

 これが帝の意に沿うこと、

 そいつに従って俺が動いてること、

 俺とやつとの戦力差を示す文書、

 また劉毅軍のうち、罪に問うのは

 劉毅一人だけ、あとのやつは

 何ら罪に問わないこと、だ。

 

 ただし、もし奴が

 こちらの意図に気付いてないようなら、

 即攻め立ててしまえ。


 それまでは、お前たち船団が、

 あくまで劉藩を江陵こうりょうに送り届けます、

 とだけ宣言しておくんだ」




高祖謀討劉毅,鎮惡曰:「公若有事西楚,請賜給百舸為前驅。」義熙八年,劉毅有疾,求遣從弟兗州刺史藩為副貳,高祖偽許之。九月,大軍西討,轉鎮惡參軍事,加振武將軍。高祖至姑孰,遣鎮惡率龍驤將軍蒯恩百舸前發,其月二十九日也。戒之曰:「若賊知吾上,比軍至,亦當少日耳。政當岸上作軍,未辦便下船也。卿至彼,深加籌量,可擊,便燒其船艦,且浮舸水側,以待吾至。慰勞百姓,宣揚詔旨並赦文、及吾與衛軍府文武書。罪止一人,其餘一無所問。若賊都不知消息,未有備防,可襲便襲。今去,但云劉兗州上。」


高祖の劉毅を討たんと謀るに、鎮惡は曰く:「公の若し西楚に事有さんとさば、百舸を賜給し前驅を為さんとを請う」と。義熙八年、劉毅に疾有り、從弟の兗州刺史の藩を遣りて副貳と為さしめんと求わば、高祖は偽りて之を許す。九月、大軍は西討し、鎮惡を參軍事に轉じ、振武將軍を加う。高祖の姑孰に至り、鎮惡を遣りて龍驤將軍の蒯恩を率い百舸にて前發せしめるは、其の月の二十九日なり。之に戒めて曰く:「若し賊の吾が上りたるを知らば、比の軍の至りて、亦た當に日は少なきたるのみ。政に當に岸に上りて軍を作し、未だ辦便に下船せざらんなり。卿の彼に至りたるに、深く籌量を加え、擊つべかば、便ち其の船艦を燒き、且つ舸を水側に浮かべ、以て吾が至りたるを待つべし。百姓を慰勞し、宣しく詔旨、並びに赦文及び吾と衛軍府の文武書を揚ぐべし。罪は一人に止め、其の餘に一にても問う所無からしめよ。若し賊の都べて消息を知らず、未だ備防有らざらば、襲い便ち襲うべし。今去りたるは、但だ劉兗州の上りたるを云うのみ」と。

(宋書45-3_暁壮)




以前劉毅討伐について考察したんですが、劉裕さんが「お前ら劉毅に気付かれないようなら即たたけよ」って言ってたのを普通に見逃してましたよね……このセリフ見てりゃ考察もクソもなかったじゃん。


うーん、セリフの読み飛ばし、いくない。

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