王弘8  面罵して叙任  

王弘おうこう、いわゆる封爵によって

食邑を人々に与えるにあたり、

その選定、及び叙任を取り仕切っていた。


だが、実際にその人に

封爵地を加えよう、とするとき、

何故か、必ず痛罵してから与えた。


しかもその痛罵に対して嬉しそうな顔を

浮かべるようなものに対しては、

叙任を取り消した。


えっ王弘さま、あなたなにやってんの?

そう質問するものがいた。


すると王弘、答える。


「封爵とは何か? 帝の所有なさる国を、

 その者に分け与える、という事だ。

 帝の威光を削ぐことにも通じる。


 そのような振る舞いなのだから、

 これを寿ぐべきこと、として

 実施するわけにはゆかん。

 これに喜ぶものは、

 つまり帝の威光の減少を

 喜ぶもの、ということ。


 奸臣である、とすら言えるだろう。


 考えてもみなさい。

 その者の能力と官位が乖離しておれば、

 食邑に恵みをもたらせはすまい。


 また、食邑をあくまで帝より

 借り受けているものではなく、

 自らの所有物であると

 振る舞うようなものであれば、

 やがていつかは恨みを抱えて、

 反逆もしかねないだろう。


 私自身、浅はかなものだ。

 ならばなおのこと、

 天、ひいては帝に心底仕ておらぬ者に、

 帝の地を貸すわけにはゆかぬのよ」


この答えに、質問者は感動したそうだ。




自領選及當朝總錄,將加榮爵於人者,每先呵責譴辱之,然後施行;若美相盼接語欣歡者,必無所諧。人問其故,答曰:「王爵既加於人,又相撫勞,便成與主分功,此所謂奸以事君者也。若求者絕官敘之分,既無以為惠,又不微借顏色,即大成怨府,亦鄙薄所不任。」問者悅伏。


選を領してより當朝にて總錄せるに及び、將に榮爵を人者に加えたらんとせるに、每に先に之を呵責譴辱し、然る後に施行す。若し美相盼接し欣歡を語りたる者にては、必ずや諧せる所無し。人ありて其の故を問わば、答えて曰く:「王が爵の既にして人に加わるに、又た相い撫勞せば、便ち主と功を分かつこと成り、此れ奸を以ちて君に事うる者と謂いたる所なり。若し求めたる者の官敘の分が絕たらば、既にして以て惠を為したる無く、又た微かにも顏色にて借しまざらば、即ち大いに怨を府に成さん。亦た鄙薄の任ぜざる所なり」と。問う者は悅伏す。(南史21-1_政事)




若求者絕官敘之分

既無以為惠

又不微借顏色

即大成怨府

亦鄙薄所不任


何言ってんだお前みたいな

顔しながら訳しました。

よくわからん。


スッキリ意味が通れば、きっともっと面白さの分かる一条ではありそうなんだけどなー。

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