五行13 天災災害    

五行志とは、世間に起こった、様々な「常ならざること」を五行説に基づき解釈する、というもの。となれば、いままで紹介してきた怪奇現象の他に、いわゆる災害も含まれます。地震雷火事おやじ。こいつがどんな災いの兆しだったかも、また五行のカバー範囲内。


けど、正直ここまでの怪奇現象と災害たちを同列に扱うのは、二十一世紀人には少々厳しい。


よって、五行志のうち天災災害についてはこちらでまとめる事にしました。



○385年


1月 火災

 國子學堂が建設され、

 学生がたくさん集まったが、

 その中のやんちゃモンたちの

 うっかりで火災発生。

 百以上の教室が消失。

夏 洪水

 苻堅ふけん打倒後の論功行賞が

 満足に行われなかったことを

 人々が恨んだため、とされた。

7月 旱



○386年


6月 地震

 黄河こうが沿岸の将兵が

 ずっと兵役に駆り出される、

 その前触れとされた。



○387年


1月 大風

 木が根こそぎひっくり返るほどの

 強風が吹いた。

4月 雨雹

 打ち続く中原の戦乱に応じた

 現象とされた。



○388年


6月 旱

12月 火災

 延賢堂えんけんどうが燃えた。

 この火災は何日も続き、

 百堂、客館、驃騎庫をも燃やした。

 当時失政が多かったため、

 と言われている。

12月 洪水

 石頭城せきとうじょうに浸水。なお割と高台。

 翌年に発生した、

 丁零ていれい翟魏てきぎ)や鮮卑せんぴ後燕こうえん西燕せいえん)の

 侵攻の予兆とされた。



○389年


7月 雷

 宣陽門せんようもんの西の柱近くに落雷。



○390年


3月 地震

7月 旱

7月 大水(兗州)

 黄河沿岸の戦乱が

 打ち続いたことに対するもの。

8月 蝗(兗州)

 丁零や鮮卑に

 領土を「食い荒らされた」。



○391年


5月 蝗

 南からやってきて、

 堂邑どうゆう県の南端を食い散らかした。

 これに先立って江州の民が

 戦役に徴収され、

 多くのものが死んだ。

 これに対する報いとされた。



○392年


6月 洪水

 石頭城に浸水。

 また京口も被害甚大。

 多くの船舶が壊れ、死者多数。

 海沿いでも、永嘉に高潮。

 これらは皆孝武帝こうぶていの死、

 王恭おうきょうの反乱の予兆とされた。

6月 大風

 木が折れるレベル。

6月、12月 地震

 小者どもが権力を弄んで、

 天下を揺るがせにしていたから、

 だそうだ。

秋 旱

 災害てんこ盛りだなこの年!



○393年


1月、2月

 地震。



○394年


7月 洪水(荊州、彭城ほうじょう

 作物に甚大なダメージ。



○395年


5月 雨雹(上虞)

   大水(荊州、彭城)



○396年


4月 雨雹

 この月に孝武帝、張夫人に殺された。

5月 大水

 中央がグダグダなことに、天、激怒。

12月 連雪

 二十三日間降りっぱなし。

 皇帝は幼く、しかもその叔父が

 我が物顔ってんですから、

 そりゃ天も怒ります。



○398年


3月 火災

 龍舟二艘が焼失。

3月 雨雹

 この年に王恭や殷仲堪いんちゅうかん

 反乱するも敗死する予兆。

9月 雨雷



○399年


5月 大水(荊州)

 桓玄かんげんが策謀を

 巡らせていることに対する、

 天からの警告。



○400年


5月 旱

9月 地震

 安帝が白痴で、そのせいで

 侫臣に政治を好き勝手に

 させていることに対する、天の怒り。

 天いそがしいな。



○401年


夏秋 大旱

5月 大水

 司馬元顯しばげんけんが中央で我が物顔、

 桓玄は荊州を私物化、

 孫恩そんおん会稽かいけいを蹂躙。

 しっちゃかめっちゃかだし、

 天災も起きますよね。



○402年


7月 大飢饉

8月 火災

 尚書下舍曹から出火。



○403年


2月 大風雨

 大航門の屋根瓦が剥がれた。

 翌年の桓玄簒奪の予兆。

6月 不雨

冬 旱

12月 酷寒

 桓玄が簒奪の後、苛烈な政治をした。

 劉向りゅうきょうが著書で

「周が衰えるときの冬は寒くなく、

 秦が滅びる年には暖かい日がなかった」

 と語っていた。

 このたぐいの話である。



○404年


1月 霰雪,又雷

 雷と霰が同じ日にあるのは、

 政権の威厳が失われた証。

1月 飄風

 桓玄が船で南に回遊に出たとき、

 つむじかぜが船の屋根を飛ばした。

2月 洪水

 石頭城に浸水。

 この時朝貢の遣使が来ていたが、

 この洪水に飲まれ、死んだ。

 前代未聞の事態である。

 それから間もなくして

 クーデターが起こった。

4月 雨雹(江陵)

 この時、安帝が尋陽じんように幽閉されていた。

5月 大風(江陵)

 木が折れるレベルの大風。

 なおこの月、桓玄が敗死した。

8月 不雨

10月 火災

 大火災。

 この火事から逃れようとした人々が

 城内に逃げ込んだところ、

 消火に失敗、城ごと燃え、

 死者数万人。

11月 大風(江陵)

 死者多数。

12月 天雷(巴陵)

 安帝の皇后が巴陵より帰還。

 出迎えの準備をしていた所に落雷、

 人馬一づつが死亡。



○405年


4月 雨雹

 桓玄の乱の戦火は未だ燻っていた。

 そこに警鐘を鳴らすためのもの。

10月 大疫

 赤班が出たあと、愈えるという

 経過の疫病。

12月 洪水(石頭)

 石頭城に浸水。

 翌年、駱環らくかんが密かに

 桓胤かんいん、殷仲文らと結託、謀反。

 同時に劉稚りゅうちという人も決起。

 ことごとく殺された。



○407年


5月 大水



○408年


1月 地震

 地震発生の前に、

 聞き慣れない音が聞こえた、という。

7月 火災

 尚書殿の中の吏部曹から出火。

10月 地震

11月 雷、疾風

12月 洪水

 石頭城に浸水。

 翌年、南燕なんえん討伐の軍が起きた。



○409年


1月 地震(尋陽じんよう

 雷のような音がしたという。

 翌年の盧循ろじゅんの乱の予兆。

3月 雪

 十センチ少々降り積もった。

 ……南京ナンキンみたいな低緯度帯で!?

5月 雨雹(溧陽りつよう

6月 雷

 太廟に落雷。

 東の鴟尾を破壊し、壁柱を貫いた。

9月 雨雹(廣陵こうりょう

 翌年の盧循来寇の予兆。

閏11月 大風

 建物の屋根を剥がすレベル。

 同じく盧循の予兆。



○410年


1月 雪,又雷

5月 大水、雨雹

 この月、盧循が襲撃。

5月 大風

 建康城の北の庭園の木を

 引き抜くレベル。

 ちなみにその木は樹齢数百年、

 という代物だった。

 いくつもの建物が倒壊したが、

 一方では、この風によって

 盧循軍の大戦艦が何艘か沈没した。

9月 不雨

12月 大雷



○411年


春 大疫



○412年


1月 地震(南康、廬陵)

 四度。

 翌年に劉毅および蜀を討伐。

3月 地陷(山陰)

 雷のような音とともに、

 一メートル強の幅の地割れができた。

4月 雨雹

6月 大水

6月 雨雹

 突風が建物の屋根を剥がした。

 またこの秋に劉毅らを討伐。

10月 不雨



○413年


5月 大水

11月 雷



○414年


4月 雨雹

5月 大水

 西明門近くの地面から水が滲み出、

 門の扉周辺を破損させた。

6月 大風

 木が抜けるレベルの突風。

 翌年、司馬休之しばきゅうし討伐の軍が起きた。

7月 大水(淮北)

 災風、大水が、人々を殺した。

 凶兆! 凶兆です!

 よくわかんないけど!

9月 旱

10月 大風

 木が抜けた。

12月 旱



○415年


7月 大水

 太廟が水に浸かる事態となったため、

 百官総出で対処にあたった。

 なお翌年に後秦こうしん征伐の軍が

 立ち上がった。

? 火災

 建康の呉郡人が多く住むあたりで

 火災発生。火消しに当たるも、

 火災は広がるばかり。

 このとき吳郡太守だった王弘おうこう

 天を見上げてみれば、

 赤い旗のようなものが見えた。

 それが振られると、

 火事はより激しくなる。

 これに気付いた王弘、

 この火事が天意であると悟ったため、

 火元を罪には問わなかった。



○424年


1月 暴風

 殿庭に吹き込んだ風により、

 百メートル近くの座席が吹き飛んだ。




416年以降にもいろいろ起こってるはずなのに乗ってないのとかお察し案件な感じがして良いですね。

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