劉裕77 魏:姚泓を狙う 

いよいよクソ劉裕りゅうゆう

クソしんを倒そうと目論んだのだが、

もっと矍鑠たる武功がなければ

認められないのではないか、と恐れ、

後秦こうしん姚泓ようおうを生贄に選んだ。


征西將軍、司豫二州刺史、

領北雍州刺史。

仰々しい肩書きを自称したうえ、

本隊には皇帝レベルの儀礼隊を配備。


建康けんこうの総責任者に息子の劉義符りゅうぎふを任命。

東府城を総本部とし、

参謀の劉穆之りゅうぼくしにその補佐として、

ありとあらゆる判断を委ねさせた。


劉裕軍が進発する時、劉穆之は

先遣隊の将軍である王鎮悪おうちんあくに言っている。


「劉裕様は、貴公に

 関中の攻略を一任したのだ。

 よろしく務められよ!」


これに対して王鎮悪が答えている。


「もし私が

 関中を落せなかったのであれば、

 どの面を提げて建康に戻れようか。


 だが、劉穆之殿よ。

 ならば劉裕様に九錫を

 もたらすことができなくば、

 それはそなたの責となること、

 お忘れめさるな!」




裕志傾僭晉,若不外立功名,恐人望不許,乃西伐姚泓。自領征西將軍、司豫二州刺史,尋領北雍州刺史,加前後部羽葆鼓吹,增班劍為四十人。子義符為中軍將軍,監太尉留府事,給鼓吹一部。右僕射劉穆之為左僕射,領軍、中軍二府軍司,入居東府,總攝內外。穆之謂龍驤將軍王鎮惡曰:「公今委卿以關中,卿其勉之。」鎮惡曰:「吾今不克咸陽,誓不濟江,而公九錫不至者,亦卿之責矣。」


裕は僭晉を傾けんと志せど、若し外に功名を立てざれば人望に許されざるを恐れ、乃ち西に姚泓を伐つ。自ら征西將軍、司豫二州刺史を領し、尋いで北雍州刺史を領し、前後部に羽葆鼓吹を加え、班劍を增やし四十人と為す。子の義符をして中軍將軍と為さしめ、太尉留府事を監ぜしめ、鼓吹一部を給す。右僕射の劉穆之左僕射と為し、領軍、中軍二府の軍司とし、入りて東府に居せしめ、內外を總攝せしむ。穆之は龍驤將軍の王鎮惡に謂いて曰く:「公は今、卿に以て關中を委ぬ。卿は其れ之を勉めるべし」と。鎮惡は曰く:「吾れ、今咸陽を克たざらば、江を濟らざらんと誓わん、而して公に九錫の至らざりたらば、亦た卿の責ならん」と。


(魏書97-5_肆虐)




劉穆之と王鎮悪の関係をどう占ったものかと言う感じである。対立しているような、していないような。この辺はどういうルートで王鎮悪が劉裕のもとに参与したか、と言った部分を検討すべきなんだろうなあ。確かその辺の話が王鎮悪伝にあった気がする。この辺はまぁ、順次確認していきましょう。

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