劉裕13 龍行虎歩    

桓玄かんげんの妾が桓玄に言う。


劉裕りゅうゆう、やばくない? まるで龍の虎のが

 歩いてるみたいだったわ。


 目つきからしてただ事じゃないし、

 あんなのが人の下につくとは、

 到底思えないわ。


 早めに排除しておくべきよ」


すると桓玄は答えた。


「俺は華北も平定したいのだ。

 劉裕のような男がいなければ、

 そんな大業は成し得まい。


 洛陽らくよう長安ちょうあんを平定してから、

 改めてそのことは考えるさ」


後日桓玄は

以下のように劉裕に語った。


「貴公は少を以て多を制し、

 五斗米道の乱をことごとくおさえた。

 しかも海にまで追い詰め、

 賊徒十のうち八もを葬った。

 部下たちも力戦し、

 怪我などを負ったものも多かろう。

 貴公以下部下たちの功績を検証し、

 厚く褒賞を与えるものとする」




或說玄曰:「劉裕龍行虎步,視瞻不凡,恐不為人下,宜蚤為其所。」玄曰:「我方欲平蕩中原,非劉裕莫可付以大事。關、隴平定,然後當別議之耳。」玄乃下詔曰:「劉裕以寡制眾,屢摧妖鋒。汎海窮追,十殄其八。諸將力戰,多被重創。自元帥以下至于將士,並宜論賞,以敍勳烈。」


或るもの說玄に說きて曰く:「劉裕は龍行虎步、視瞻も凡ならず、人下に為らざるを恐る、宜しく其の所より蚤せるを為すべし」と。玄は曰く:「我、方に中原を平蕩せんと欲す、劉裕に非ざれば以て大事を付すべかる莫からん。關、隴を平定し、然る後にて當に別にて之を議せんのみ」と。玄は乃ち詔をい下して曰く:「劉裕は寡を以て眾を制し、屢しば妖鋒を摧く。海に汎び追い窮め、十に其の八を殄す。諸將の力戰せるに、多きは重創を被る。元帥より以下、將士に至り、並べて宜しく論賞し、以て勳烈を敍すべし」と。


(宋書1-13_識鑒)




韓信が脳裏に引っかかってる感じですかねえ。

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