女王事件発生前
第1話 こんにちは
ここはジャパリパーク。そう、あのジャパリパーク。皆も知ってる「超巨大総合動物園ジャパリパーク」だ。
俺はタクミ、ジャパリパーク・サファリにあるアニマルガール研究施設の研究員をしている。このパークでは様々なアニマルガールが生活する。普通の動物たちもここで過ごしており、時々降ってくるサンドスターによって獣耳や、羽やしっぽが生えたアニマルガールの姿になる。俺は動物がアニマルガール、通称フレンズになるメカニズムとサンドスターについての研究をカコ博士直々に任されている。
…はずだった。はずだったのだが
「ねぇねぇタクミ君、ちょっとお願い事なんだけどさ~」
事の発端はこの研究施設で働いている先輩の言葉だった。
「な、何ですか?」
怪しげに俺は呟いた。すると先輩が俺の肩を叩いて言う、
「アニマルガールの飼育を担当してもらいたいんだけど、良いかな?」
「へ?」
…おい待てどういう事だ俺はフレンズの接し方なんて知らないしただでさえ高校時代女の子とまともに喋った事無いし職場でも先輩や他の女性とは必要不可欠な会話しかしてないしまず第一に俺はここの研究員でカコ博士直々に任された仕事があるしそして俺は名○だぞ!
「え、それは一体どういう事でして…?」
恐る恐る話を聞く事にした。すると先輩は目を輝かせながら早口で言った
「最近アニマルガールになった子がいてさ~その子についてはスタッフでもまだわからない事が多くってね。そこで私とここの所長であるリュウジさんが君をその子の飼育員に任命したって訳なのさ~」
…うん、全く持って訳がわからない
「え、でも何で俺なんですか?そういうのは他の飼育員さんに頼めば良いのでは?それにカコ博士に任されてる仕事もありますし…」
一応理由を聞いてみる。そして先輩はまた早口で、
「いやね、実は今年からなんだけど飼育員の他に研究員にアニマルガールの飼育をさせるという所長の方針がありまして、お人好しで優しい君が選ばれたんだよ。大丈夫!カコさんにも許可は取ってあるよ~」
あ~もう何で勝手に決めるかなこの上司たち。労働基準法で訴えてやろうかな~てか労働基準法ってなんだっけ?
「てことで明日からよろしくね~」
先輩が他人事のように言った。言った
あ"あ"も"う"い"や"だ"あ"あ"あ"あ"あ"
~翌日~
てな訳で簡単に島流しされたしまった俺は朝、ジャパリパーク管理センターに呼ばれた。
「おはようございまーす」
気の抜けた声で挨拶をしながら、中央ロビーに入った。
「お、きたきた!こっちだよ~タクミ君」
先輩の声がする方を見た、そこには、先輩としましまのエプロンを着ている落ち着いた少女が立っていた。
すぐに先輩とその子がいる自販機の前まで駆け寄る。近寄ってすぐに先輩の隣の子を見た。その子は、ベージュの髪がとても綺麗で、着ているしましまのエプロンには、ポケットのような袋がついている。これは有袋類のアニマルガールの特徴であり、お世話好きが多い。そして何より、彼女の瞳はハイライトが無く、コーヒーのような色をしていた。
「きたねきたね。紹介するよ、この子がタクミ君の担当するフクロオオカミちゃんだよ!」
先輩が言うと、今まで無表情だった隣の子がこくっと頭を下げて言った
「初めまして、フクロオオカミ、です」
どこかぎこちない喋り方で自己紹介をしてくれた
「は、初めまして。俺はタクミ、これからよろしくね」
どう接すれば良いのかわからず、一応挨拶をする。そして先輩が俺と彼女の顔を交互に見て、
「自己紹介も済んだし私はこれにてドロンするとしましょうか。二人とも、後はご自由にどうぞ~」
と言ってすぐに外を出ていった。
…いよいよ二人きりだ、どうしよう。俺はまじまじとしながらも何か言うことを考える
(どうしようどうしよう只でさえ女の人とあまり喋った事無いのに今日初対面の相手となんて無理中の無理に決まっているだろ!お、落ち着け…とりあえず何を話すかなんてすぐでてくるはずだ落ち着けタクミ…よし!ここは定番の何が好きなのか聞こうかな、あーでも趣味とかでもいいなここは間を取って夢のこといやダメだダメだダメだd(ry
「移動、しよう…?ここ、寒いから」
この子の言葉で我に帰る。
「あ…ごめんね…」
迷走から覚めた時の自分の顔は、とても赤かったんだろうなと思った。何やってんだ俺は…
そんなこんなで家に行ってからいろいろと話す事に。こうして、俺とフクロオオカミちゃんの飼育という名の同居生活が始まるのであった。
つづく
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