第2話 匂い
「ねぇー風、髪の匂い嗅がせてー」
私は2人きりの教室でそう呟いた、すると風は当たり前の反応をした。
「は!? はぁ!? な! なんで髪の匂いなんか」
照れつつ驚いていた、そんな風の表情を見ながら可愛いなーと思いつつも私は慌てず冷静に返事をした。
「いやーなんかいい匂いしそうだなーって」
ダメと言われたら無理矢理にでも、嗅ごうと思っていたのだが、風は予想外の返しをしてきた。
「別に全然いい匂いなんてしないと思うけど、どうしてもって言うならいいよ」
手のひらの半分ぐらいを制服の袖に入れ、口元を隠しながら呟いた彼女は今まで以上に照れていた。
「うんどうしてもどうしても!」
私は両手を合わせてお願いをした、すると風は肩につくぐらいの髪が私の方向に来るように体の向きを変えた。
私は唾を飲み込みつつ風に近づいていく、風の肩に手をついて髪に私の鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
風の匂いはなんというか、森の中を風がさーっと吹いている景色が眼に浮かぶそんなような匂いだった。
このまま色々と危なそうだったので、冷たくなっている手を風の首元に当て、終わったよの合図をした。
「ああっ!」
風は突然首元に冷たいものが来たのに、驚いたのかこの前と同じような可愛い声で、喘いだ。
私は風の喘ぎに爆笑してしまう。
「ああっ! って可愛すぎ」
私はなんとか笑いを堪え、笑った時に垂れてきた涙を拭ってから、風の表情をみるとやはり怒っていた、私を睨んでいた。
さすがにここでもう一回からかう勇気は、私にはないので素直に謝る。
「ごめんて風、この前みたいな喘ぎ声が聞きたいなーって思っちゃって」
すると風は許してくれたのか喋りだす、ただ顔は笑っていたが、声はいつもよりも低いトーンだった。
「うんいいよ許してあげる、雪がこんなことをするのはいつものことだしね」
そう言いながら座っていた椅子から立ち上がり、風はこちらに近づいてくる。
風はそのまま体を私の体に密着させ、机と机の間に私を押し倒す。
私を押し倒した風は、私の髪の近くに鼻を置き匂いを嗅いでいる。
変な感じになりそうだった私は、冷静になるために眼を瞑る。
眼を瞑っていると耳元で風の息遣いが聞こえてくる、本当にやばいと感じた私は風を手で離そうとしたタイミングで、冷たいなにかが首元を触った。
「あうあっ!」
私は喘いでしまった、すると風の笑い声が聞こえて来た。
「あうあっ! って雪も可愛い声出せるんだね」
風は爆笑しながら、密着していた体を離していく。
少し寂しさを感じながらも机に手をかけ立ち上がっていく。
「風、私結構やばかったんだけど!」
私は少し濁しながらも風に忠告をした、すると風は顔を悪巧みをしているような表情にして耳元に囁きかけてきた。
「やばかったってなにが? わかんないなー」
普段は大人しいくせにこういう時だけは、小悪魔っぽくなるというかなんというか、そんなことを考えながら私は言葉を返す。
「言わなくてもわかるでしょ!」
「わかんないなー、でもまぁもう帰る時間だしここで終わりにしてあげる」
そう言うと風は私に手招きをして教室を出て行く。
私も風を追いかけるように教室を出て行きながら心の中で考える。
いつもは私が上にいるのにいつもなぜかいつのまにか、下にいる状況が多い。
なんでだろうと考えるのだが、いつも答えはでないで終わってしまう、まぁ今日のも悪い気はしなかったのでそのまま風を追いかけていく。
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