悪役令嬢は処刑されました。

鈴鹿黎

アンティーヌ・フォン・クラッセン

プロローグ


悪役令嬢は処刑されました。


めでたしめでたし。






と、終わるのが一般的な乙女ゲーム。

ヒロインはイケメンと想い人に囲まれ何不自由なく幸せに暮らす。



最近は、悪役令嬢が活躍し幸せになるエンドも用意されている。



しかし、活躍するために必要な手足を奪われ、無実の身で命を散らす悪役令嬢がほとんどである事実に変わりはない。



永遠に来ないハッピーエンドを待ちわび、毎回断頭台に送られる者の気持ちを考えたことはあるだろうか。



少なくともゲームのプレイヤーは、

まるで悪役令嬢が存在していなかったかのように、

飽きたら再び最初からやり直し、何度でも悪役令嬢を殺す。



私はそれが許せなかった。



世界の、「神」の、正体を知った今でも考えは変わらない。


私は何度でも主を貶めたあの女を殺しに行く。


主を絶望の淵に落としたアイツらを地獄に送りに行く。







私はアンティーヌ・フォン・クラッセン。



第二王子殺害未遂で長女が捕らえられ、

一族郎党死刑となったガーガメル公爵家に、

護衛として仕えていた女であり、今日から貴族になった元平民。




――そして、この国を滅ぼす女でもある。




私は主を殺した王国を許さない。








これは、そんな私の復讐の物語。


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