天国小説新人賞(15分)

お題:難しい小説新人賞



 生前認められなかった分、認められるかも?

 などと思ったのが間違いで。

 天国小説新人賞ーー審査員は神様で、小説を読んだことはないが代わりに数多の人の人生を眺めてきているわけで。そんな相手を喜ばせられる小説、そして他のライバルたちの書くものよりも、ずっと面白い小説……と思っても何も思いつかず、俺は頭を抱えた。

 生前、数々の新人賞に応募するも、俺はついぞ認められなかった。だから天国でも新人賞がある、と聞いた時は、今度こそ、と奮起した。

のだけれど。

 なんと天国で小説コンクールが開かれるのは今回が初めて。よってあの文豪もあの文豪もみーんな新人。はい、詰んだ!

 とはいえ、審査員は神なのだ。今も人の営みを見続ける神様なのだ。文豪たちの筆力がいくら高くとも、ネタはどうしたって生きていた時の経験をもとにしているはずでーーつまりは、神様には古く感じる、はず。

 諦めるものか。俺は必死にペンを動かす。

 死んだぐらいで、書くことをやめられはしない。人に読んでもらうことを、諦められはしない。

 これでも俺も、物書きの端くれなんだよ!

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