第67話 バレンタイン戦線

 ユリカ:ハッピ〜バレンタイン〜♪人界ではさ、好きな人にチョコレートを渡す習慣があるらしいじゃない。え?それは人界でも一部の国だけだって?まぁ、それはともかくさ、ミリアさんの周りのお姉様方はそれを聞いて何やら怪しい雲行きになってきたみたいだよ〜。


 魔界時間10:00 ベジタリア帝国 帝都内メインストリート


 ※この番組はバレンタイン3日前に収録したものです


 観光客A:ねぇそういえばさ、人界ではバレンタインデーってのがあるらしいわよ。


 観光客B:何それ?  


 観光客A:え〜、知らないの?バレンタインデーっていうのは好きな人にチョコレートを渡す習慣の事だよ〜。


 観光客の会話に反応するシンと揚羽


 観光客B:だったら私は莉音様に送ろうかな〜♡私が知らないくらいなんだし、皆んな知らないだろうから絶対受け取ってもらえるの確実っしょ♪


 観光客A:分からないわよ〜、こういうの結構知ってる人いるかもよ〜♪因みに私ミリア様推し♡


 シン:(あ?)


 揚羽:(ぬしなんて旦那様は高嶺の花でありんす)


 観光客B:やめときなよ、ミリア・アクガリタル総理大臣って魔界宇宙でもミシュトラン大公様やベルゼブブ公爵様に次ぐ美食家であり一流の料理人でもある魔王様よ。渡して撃沈するのがオチよ。


 観光客A:そうよね〜、やめとこ。


 シン&揚羽:(ホッ)


 観光客B:元スイートフル王国王妃専属パテシエールのアンタでも流石にハードル高いから賢明な判断だよ。


 シン:(なっ⁉︎)


 揚羽:(あっぶな!)


 観光客A:そろそろ帰りの便の時間ね。


 観光客B:あ、今日カリフラ百貨店で魔界宇宙の有名ショコラティエが集まるバレンタインフェアやってるんだって。時間あったら行きたかったな〜。


 近くのトランスゲートで次元空港へ向かう観光客2人


 シン:・・・


 揚羽:・・・


 シン:私、行くところがあるので。


 揚羽:奇遇でありんすなぁ、わっちも行くところがあるでありんす。


『同時刻 ベジダリウス宮殿』


 侍女A:バレンタインかぁ、誰にあげようかしら?


 侍女B:チョコレート?この国じゃ野菜じゃね?


 侍女A:そうだけどさ〜、この国だからこそチョコレートって特別感増さね?


 侍女B:それな〜、ウチの女帝陛下は誰に渡すと思う?


 侍女A:今来国中のアクガリタル総理大臣に決まってんじゃん♪


 柱の陰で聞いてたクミン


 クミン:(バ、バレてる)


 侍女B:そういや今さ、カリフラ百貨店でチョコレートの祭典があるそうじゃない。


 侍女A:女帝陛下行くかな?  


 侍女B:そりゃ、行くっしょ♪


『30分後 帝都内カリフラ百貨店』


 最高級チョコレートの前に立つ3人


 シン:これだ、総理が食べたがっていた有名ショコラティエの作品。


 揚羽:これを買って旦那様に贈れば嫁としての株急上昇でありんす♡


 クミン:これでミリア様のハートは私のモノ♡


 店員:魔界宇宙最高峰ショコラティエ、シェリル・ビターの最新作はここに展示しているもので最後となりま〜す!


 シン:あれで・・・最後!  


 揚羽:誰にも渡さないでありんす!


 クミン:国家予算に手を出してでも誰にも渡さない!


 店員:購入希望者多数につき競を行います!先ずは定価の1500億ヘルネスから〜!


 ※人界日本円相場1兆5000億円


 シン:1兆5000億!


 揚羽:やっぱり来てたでありんすな!ならばわっちは5兆!


 店員:5兆ヘルネス、他にいませんか〜?


 クミン:50兆!


 周囲が騒然となる


 シン:なっ⁉︎


 揚羽:女帝パプリカ!こっちも負けてられないでありんす!55兆‼︎


 クミン:クッ、魁桜国の揚羽!ならば私は70兆!

 

 シン:流石は魔王だけあって提示額が桁違いですね・・・でも残念♪1000兆!


 会場内全員が度肝抜かれる


 揚羽:しまった、シンはサタンの妹でありんした!これ以上は出せないでありんす。


 クミン:なら国家予算全て注ぎ込んででも・・・


 シェリルの前に駆け寄る小雪


 小雪:シェリル姉ちゃん久し振りだべ♪


 シェリル:おおっ!我が愛し姪の小雪ではないか♪


 小雪:今年もシェリル姉ちゃんのチョコ楽しみに来たべ♪


 シェリル:わざわざ来てくれるとは嬉しいね〜♪よしっ!ならこれは小雪にプレゼントだ♪


 シン:えっ⁉︎


 揚羽:ま、待っておくんなまし!それは売り物ではないでありんすか⁉︎


 クミン:そうだそうだ!


 シェリル:黙れ!たとえサタン様の妹君だろうが一国の魔王だろうが、愛し姪である小雪が最優先に決まっている‼︎


 シン:そ、そんな。


 揚羽:シェリルが姪を溺愛してるとは聞いてたでありんすが、まさかそこまでとは。


 クミン:あうう。


 シェリル:さ、私の気持ちを受け取ってくれ♡


 小雪:ありがとだべ♪ユキ、これ大っきくて重いから持ってくんろ。


 ユキ:畏まりました。


 シェリルから貰ったチョコを抱えて帰る2人


 シン:・・・


 揚羽:・・・


 クミン:・・・やっぱり手作りにしよう。






 

 

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