閑話 2 少女と彼らの温度差 シンシア目線

「ねぇ、爺や」

「なんでございましょう?」

「騎士団のかたは、皆、照れ屋さんなのかしら」


 わたくしの運命のお相手、騎士団二番隊隊長のラグス様。


 お友達の皆さんにも、ラグス様が良いと言うかたは沢山いらっしゃる中で、わたくしはついに! ラグス様と今日、改めてお話をしましたの!


 寡黙という言葉がぴったりな口数はとても少ないかた。

 けれど、それもまた素敵なポイントでしたわ!


 大人の男性と、青年のあいだのような雰囲気を持つ整った顔立ちと、少し切れ長の目。あの目に覗きこまれたら、なんてついつい想像してしまいますわ!


 それにそれに!

 わたくしは忘れもしません!

 学院の帰り道、わたくしの馬車が襲われた時に、たった一人、悪の手と戦い、わたくしを救ってくださったこと!


 ラグス様を呼んだわたくしに応えてくださったあの表情!


 どれもこれも忘れもしませんわ!

 もし、あのまま、ラグス様がわたくしに口づけをなさったとしても、わたくしは拒否など……!



「お嬢様」

「何かしら、いま忙しいのだけれど!」


 素敵な回想シーンの邪魔をしないでちょうだい!

 わたくしを呼んだ爺やに、その意味をこめて返事をすれば、爺やは「存じております」と言いながらも口を開く。


「ですが、お嬢様。麗しい想い出を思い出していらっしゃるところ大変申しあげにくいのではございますが、全て口に出しておりますゆえ」

「え、嘘?!」

「筒抜けでございます」

「早く言いなさいよーーーー!!!」



 執事の言葉に、まるでセキセの花のように、少女の頬は真っ赤に染まったのであった。












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