第2話 決意
白奈と他愛無い話をしながら俺たちのクラス、2─Aへ向かった。嬉しい事に、白奈とは1年生から同じクラスなのだ。因みに、瀬良も一緒だ。世の中いい事ばかりでは無い、って事だろうな。
クラスに着くと、大体のやつはグループごとに話していた。ホームルーム3分前という事もあり、全員がクラスに居た。
白奈とは席が少し離れている為、クラスに入ってすぐに別れて自分の席へと向かう。席替えまだかよ。
席に着くと、一人の男が近づいてくる。
その男は俺の前の席へ座り、ニッと口角を上げる。
「おはよ、光。今日もギリギリだな、イチャイチャし過ぎなんじゃないか?」
「おはよ、
こいつの名前は
バスケ部の副部長でイケメンという、The陽キャだ。
しかも学校での顔も広い為、学校関連の大体は大輝に聞けば直ぐにわかる。わからなくても、その日のうちには答えが返ってくる。いやホントに、すごい親友を持ったもんだよ。え?なんでこんな奴と親友になれたか、だって?知らんがな(・ω・`)
俺も疑問で聞いてみたんだが、彼曰く楽しいかららしい。
単純な理由だなって思ったけど、友達ってそんな複雑な理由でなる事の方が珍しいってもんだよな。親友ってなると、友達よりも単純な理由になる……気がする。
実際俺も何故大輝と一緒に居るかって聞かれたら、楽しいからって答えると思うし、ね。
「ん、光さ、今日なんかいい事あった?」
「あ、わかる?顔には出さないようにしてたんだけど」
「いや、光って感情とか顔に出ないから全くわからなかったんだが、」
「だが?」
「白奈ちゃんが心なしか、いつもより嬉しそうにしてる気がするからさ。さっきの反応で確信したよ」
「あーー、反応ミスったなぁぁ」
何も考えずに反応した結果がこれだよ。まぁこいつにはあんまり隠し事とかしたくないから話してもいいかな。
てか白奈さん、嬉しそうにするって事は僕期待しちゃうよ?
……普通に幼なじみと楽しくクリスマスを過ごせるって事で嬉しそうにしてるって分かってはいる。分かってはいるが、やっぱり嬉しいな。
「やっぱ、この季節だとクリスマスか?」
「せーかい。流石にわかるよなぁ、季節が季節だけに」
「良かったな、アタックチャンスだぞ。ちゃんとどうなったか教えろよ?」
「教えるけど……多分いつも通り過ごして終わるぞ。まぁ努力はするつもり」
正直、このクリスマスが最後のチャンスだと思う。来年になれば、受験勉強で忙しくなるからね。……多分。
因みに、大輝は俺が白奈を想っていると知っている。
正確に言えば、バレた。普通にバレた。態度見てたら分かるって言われちゃったよ。ま、まぁ大輝が俺以外にはバレてなさげって言ってたし大丈夫だろう。
ふと、大輝がボソッと呟いた。
「しかし、まさかほんとになるとはな」
「ん?すまん聞こえんかった。もっかい言って」
「いや、独り言だ、忘れてくれ。それより、今日どっか行かね?」
「いいぜー。昼はどうする?」
「昼飯もついでに食べるか。っとそろそろ時間だな。んじゃこの話はまた後で」
そう言い、大輝は自分の席へと戻った。
そして、担任が入ってきてホームルームが始まる。
担任の話なんて興味の無いものを聞くはずがなく、俺はすぐさま思考を切りかえる。
今日は終業式で、それが終われば即座に帰宅出来る。
部活も今日はないらしく、そのおかげで久しぶりに大輝と遊べるのだ。カラオケ行って歌うついでに色々聞くとしよう、と思った矢先、急に睡魔が襲ってきて俺は意識を離した。
--------------------
光と別れ、自分の席に座った私は先程の出来事を思い出す。
何回も可愛いと言ってくれた。好きと言ってくれた。て、天使とも言ってくれた。想い人から言われる事がこんなに嬉しいとは昔の私には想像がつかなかっただろう。
言ってくれた、というのは少し語弊がある。思ってくれたのだ。
私、結城白奈にはちょっとした能力がある。
それは、目を凝らせば相手の考えている事が大まかにわかるという物だ。例えば、光が瀬良君に対して怒りの感情を抱いたら、瀬良君に怒っている、ということまでは分かる。しかし、どんな理由かまではわからないのだ。
この能力が使えるようになったのは、去年のクリスマス辺りだっただろうか。
光と恋仲になりたいが想いを伝えて関係が壊れるのを恐れていた。そんな簡単に壊れるわけがないと分かっているのに……。そして光の私に対する想いを知りたいと思った。光の親友である大輝君に聞いてみると明らかに知ってそうな顔をして、何も聞いてないと返された。
それは、俺が言うべきではない、と言っているようにも見えた。
私は悩んで悩んで、願う事にした。無謀だと思う。でもこうするしかなかった。いろんな人に聞けばその分光に想いがバレる可能性が高まるから大輝君に聞くのが限界だった。クリスマスの夜、光の気持ちが知りたいと強く願い、就寝した。
正確な時間は定かではないが、起きた時にはこの能力が使えるようになっていた。
この能力のお陰で、光が私を想ってくれている事がわかった。光も同じ気持ちだったと思うと、すごく嬉しかった。
が、光の気持ちを知ってしまい、光から好きだと言ってほしいと思うようになった。
あれから1年が経とうとしている。
今でも可愛いと思われるのは慣れない。顔には出てないはずだが、心の中はバクバクである。
たまに可愛いと口から言われるので、ホントに光はずるいと思う。それなのに、全く好きって言ってくれないし。
最近、危機感を持ち始めた。このままの関係で終わるのではないか、と。だから私は変に気取るのはやめて、少し攻めてみる事にした。クリスマス、私の気持ちを分からせて、光に好きって言わせてみせる!
クリぼっちと不思議な幼なじみ AKU(◍•ᴗ•◍) @jakku2525
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。クリぼっちと不思議な幼なじみの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます