クリぼっちと不思議な幼なじみ
AKU(◍•ᴗ•◍)
第1話 登校
「ク~リぼっちが今年もやってくる🎵」
と、全人類から哀れみを向けられそうな歌を歌っているのは俺、
趣味がゲームと読書の一般的な高校二年生である。
今日は12月20日、世間は完全にクリスマスムード。
今年もリア充共が乳繰り……聖夜を過ごすのだろう。
全くもってけしからん、クリスマスはイエス・キリストの生誕祭であって、リア充共がイチャコラするものでは無い。それなのに、元からこういうイベントだろ?みたいな態度で来やがる。こちらの気持ちも知らずに、な。
例年俺はクリぼっちで悲しくソシャゲのイベントをしながら過ごしている。
(はぁ……誰か誘ってくれないかなぁ)
友達は少なからず居るし、親友と呼べる奴も3人ほど居る。だが、そいつらはクラスの集まりに参加するらしい。
親友なら……と思うかもしれんが、これは俺のせいなのだ。俺の事を気に掛けていたから、クラスの集まり行ってこいよ!っと謎の意地を張ってこんな事を言ってしまった。
そもそも……俺もクラスの集まりに行けばいいのだが、それは出来ない。クラスの中心人物である
……
…………
………………ダメだ、思いつかねぇ。
今日の俺はダメだったけど、明日の俺なら思いつくだろう
「もう2時か……明日も早いし、寝よう」
色々と考えてるうちにこんな時間になっていた。
既にベットに寝転んでいた事もあり、直ぐ瞼を閉じた。が、ずっと脳を働かせていたせいか、すぐ寝付けず、眠りにつくまでに30分かかってしまった。
_______________
鳥の囀りと共に俺の朝はやってくる。
だが、直ぐに布団から抜けない。否、抜けれないのだ。
……いや寒いやん。学校行きたくないわー。って事で暇つぶしで親友に今の心境を語ろうかとスマホを触ったところ、8時00分という表示が出てきた。
は?ホームルーム30分からだぜ?死んだわ学校休も。
とは言っても、休んだら休んだで親父が怖いからなぁ。
あーでもなぁ……とダラダラ思考を巡らせてたところ
「ひかるーー早く降りてきなさーーい」
母親の声が聞こえてきた。ほとんど脊髄反射で「はーい」と答え、部屋を出た。
階段を降り、リビングへ入ると、机に冷凍の肉まんが2つ置いてあった。
はい、ここでアレを思い浮かべた人は犯罪者予備軍です。病院に行きましょう。
俺も思い浮かべたので病院行ってきます。
謎の脳内漫才を繰り広げていると、「行ってきま~す」と母親の声が聞こえた。
俺の家は、俺姉母父の4人家族で、姉は既に独り立ちしており、親も共働きという事で、1人で過ごすことが多い。
初めはちょっとばかし寂しかったが、すぐに慣れた。1人遊びばかりやっていたのも影響してるのだろう……あれ?なんだか目から汗が垂れてくるよ?
そんな事より、早くしないとアイツが来てしまう。
先程スマホを見た時、「そろそろ行くよ~」とメッセージアプリMINEで連絡が来ていた。
急いで支度を済ませ、忘れ物等のチェックをする。家を最後に出るのが俺だから、確認しないといけない。
確認をし終えた頃にインターホンが鳴り、同時に時間を見ると、8時15分である。ホームルームまで残り15分だが、なんと俺の家から徒歩10分の位置に高校があるのだ。
……ギリギリなのは仕方ないんや。
俺は肉まんを2つ片手に持ち、急いで外に出た。
そこに居たのは、紺青色の制服を身に纏った少女だった。
腰辺りまで伸びる栗色の長髪にパッチリと開いたブラウン一色の目、しっかりした鼻筋に微笑みを浮かべた唇。
うん、今日も可愛いな。そんなことを考えていると、
「おはよ。ボーっとしてないではやく行くよ!」
と栗色の髪の少女は言った。俺は
「おはよ、
と答え、彼女の隣へ行った。
彼女の名前は
同じ高校という事で毎日一緒に登校している。
白奈は余裕を持って行動する人間なのだが、俺に合わせてこんな時間に登校してくれている。
いやぁ~ほんとありがたい限りっすわ~
毎日可愛い幼なじみが迎えに来てくれるってコレなんてラノベだよ。にしても、白奈が俺と同じ高校に行くなんて思ってなかった。もっといい所に行くと思ってたし、やっぱり徒歩10分は偉大だな。というか
「…………」
さっきから白奈が呆れたような顔付きで俺を見てるんだけど。
……いやぁ何考えてるかわかんねぇけど、ジト目ありがとうございます。ジト目最高。
「どったの?なんか顔についてる?」
「いや…………今日は肉まんなんだって」
「あーね。これ、お手軽で食べやすいから結構好きなんだよな」
「それだけでよく昼まで持つよね、光」
「毎日腹空かしまくるけど、時間が無いから仕方ない。現にこうやって歩きながら食べてるわけだしな」
「それもそうだね、もう少し早く起きればいいのに」
「……努力はしてる」
「なんなら、部屋まで行って起こしてあげようか?」
「おねがいします」
「え、冗談のつもりだったんだけど……」
いや、断るやつおる?いる訳が無い!可愛い幼なじみで尚且つ好きな女の子なんだぞ!ご褒美すぎるだろぉ。
しかも、白奈は押せば意外と簡単に折れるから、文句を言いつつ結局は起こしに来てくれるだろう。
しかし、問題は……
「朝もっとゆっくりしたいし、頼む!」
「ま、まぁ光のお願いなら……いいよ、おばさんに頼んで毎日起こしに行ってあげる!」
「っし!サンキューな白奈。でもまぁ……」
「うん、そうだね。今日で2学期最後だから、それは3学期が始まってからだね」
そう、今日は終業式、明日から冬休みなのだ。
先延ばしになるのはちょっとばかし、いやすごく残念だけど、お楽しみって事にしておこう。流石に冬休みまで起こしに来てもらうのは、ね。とてつもなく来て欲しいけども。これ以上迷惑は掛けたくない。たかが2週間だ。2週間我慢すれば毎日白奈が起こしに来てくれる。
そう思うとニヤケてくるな。勿論脳内でニヤけている。
顔に出したら好きって事がバレちゃう///
「……」
「ん?今度は何?」
「いや…………なんでもない。それより、光は今年もクラスのパーティ呼ばれてないの?」
「…………YES」
「そっか……なんかゴメンね」
「謝らなくていいよ、慣れた事だし。それに、3学期からは可愛い幼なじみが毎日起こしに来てくれるからな」
「もうっ……褒めたって何も出ないよ?」
と、頬を赤らめながら白奈が言う。マジ天使。
それで、何故白奈が謝るかと言うと、昨日の話に戻る。
8割は俺に原因があるのだが、残り2割は白奈にある。
順を追って説明すると、まずクラスの中心人物である瀬良は1年の頃、白奈に一目惚れをし、告白をした。
だが、白奈は好きな人がいる、と断った。そして、瀬良は白奈の想い人を探った。
ここまではよくある展開だよな。しかし、問題はこの後である。瀬良は白奈と1番仲良くしている俺が白奈の想い人であると考えた。そんな俺が気に入らないのか、瀬良は俺をクラスの集会に呼ばなくなった。
白奈は幼なじみだから仲良くしてくれてるだけで、俺の事が好きなわけが無い。自分に好意を寄せているならすぐに分かるからな。鈍感ラノベ主人公の気持ち知ってみたいわー。……あれ、この理論だと、俺の気持ちバレてるくね?
いや、バレるような仕草はしてないからバレてないはず。話を戻そう。瀬良の誤解を解けば、俺も集会に呼ばれるはずだが、問題はどう誤解を解くかなのだ。
早い話、白奈と俺が距離を置けば済む話なのだが、そんな事はしたくない。
そして何より、この事を知った白奈から
「ゴメンね……でも、光と距離なんて置きたくない!」
なんて言われたらね、距離なんて置けるわけがないのですよ。しかし、このセリフは如何せん勘違いしそうになる。幼なじみとして言ってくれたと分かってるつもりなんだけど、やっぱり勘違いしそうになっちゃうよね。
俺の童貞臭い話は置いておくとして、まぁこういう理由があって瀬良と誤解を解けずにいる。
体育祭とかの打ち上げって中学とは違った楽しみがあると思ってるから行ってみたいんだよね。
しかし、瀬良は何故俺がそこまで気に食わないのだろう。
高校生にもなって、想い人の想い人だからとかいう理由なわけないよな。本当の事は本人にしかわからないし、考えるのはやめよう。
……そういえば、白奈にダメ元で頼んでなかったな。
「なぁ白奈、今年一緒にクリスマス過ごさないか?」
これは去年もやったことだ。先に用事が入ってて断られるだろうが言わないよりはマシだろうということでやっている。あわよくば、ね。
「ん、いいよ~~」
「……マジすか」
普通に断られるかと思った。しかし、ラッキーだ。これまでは関係が壊れるのが嫌で告白しないチキンっぷりを発揮していたが、ここで少しでも進展するように頑張ろう、うん。仲の良い幼なじみで終わるのは嫌だからな。……手遅れかもしれないけど。
「にしても、クリスマスの誘いはなかったのか?」
「えへへ、実は光と過ごすつもりで誘い全部断ってましたー!」
「お、おう。なんか、すまねぇな」
「いいのいいの。……瀬良君のこともあるから、ね」
どんな理由であれ、白奈と過ごせるのは嬉しい。
瀬良もたまには役に立つじゃないか。
「それで、どうしようかクリスマス」
「私の家来る?お父さんとお母さん、夜遅くまで出かけてるし」
「お、それじゃお邪魔させてもらうよ」
「それじゃ昼はどうする?どこか出掛ける?」
「んじゃ、プレゼント交換でもするか?その為の買い物を昼にするとか」
「いいねそれ!場所は……駅近くのデパートでいいよね?1時頃に家行くから準備しててね」
「りょうかい」
合法的に白奈からプレゼント貰えるよやったねたe……はい。にしても、クリスマスに2人でデパートってなんだかデートみたいだよな。というか、デートじゃね?
と考えていると
「あ、そういえばね、気になってることがあるんだけど」
と白奈が言ってきた。そして、このように続けた。
「瀬良君、私が打ち上げとかに行くの、そこまで歓迎してないというか、嫌がってるっぽいんだよね」
「え?」
Why?白奈が好きなら大歓迎なはずだろ、どゆこと?
「それってどういう……」
「んー?私もよくわかんないんだけどね、もしかしたら瀬良君さ、光のこと嫌ってないのかも」
「それまた、どんな理由で?」
「うーん、瀬良君とはそこそこ話すけど、普通に優しい人だなって思うってのが理由かな」
「へぇ、つまり俺を善意で呼んでいない可能性があるって事?そんな事ってあるかなぁ」
「こればっかりは本人に確認するしかないよね。うん、話す機会があればさり気なく聞いてみるよ」
そんなことを話していると、校門が見えてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます