第26話; What subject do you like?

オンライン・ハイスクールのスクーリングでは、カナダのサポート校で一緒だった子が何人いた。何よりミイナがいたので、スクーリングは合宿の様でとても楽しかった。

スクーリングも無事に終え、私は東京に、ミイナは大阪に戻り、私はパパとママと一緒にディズニーランドに行ったり、温泉旅行に行ったり、パパとは二人で富士山登頂にも挑戦し、私は日本での夏休みを満喫した。

 ミイナは、カナダの高校には行かないけど、再びカナダの語学学校に通うためにカナダに帰ってくると聞いていた。

私が2ケ月日本に滞在するのに対して、ミイナは日本で3~4ケ月ほど滞在予定だとスクーリングで会った時に教えてくれた。


 8月末にカナダに戻った私に待っていたのは、サレー市教育委員会の英語力試験と面接だった。英語力試験の前日に、陽子さんのオフィスに顔を出すと、

「私は、今まで現地高校に送った生徒たちから面接で何を聞かれたかを教えてもらっているから、聞かれる質問の内容は大体把握しているわ。美紅、今から面接の練習をしましょう」と陽子さんが言う。

私達は、明日の面接を控え、面接の練習をすることになった。

「What subject do you like?」

と陽子さんは私に質問した。

「え? 陽子さん、どんな主語が好きですかの質問に、私は何と答えれば良いの?」

そう答えると、暫く沈黙が続き、陽子さんから

「私はどんな教科が好きですかと美紅に質問したのよ。Subjectは確かに主語という意味があるけれど、教科という意味もあるの。数学が好きな生徒ならI like math. 音楽が好きな生徒はI like musicと回答すれば良いの。教科という単語を知らない美紅を本当に現地高校に行かせて大丈夫かしら?」

 英語が随分と話せる様になっていたので調子に乗っていた私は、まだまだなんだと思い知らされたが、もっとそれを思い知ったのは、翌日のサレー市教育委員会での英語力試験を受けた時だった。

去年の9月にカナダに来た当初に受けた語学学校での英語力試験とは比べ物にならないほどに難しい。これが外国の高校に行くという現実のレベルなのだ。

 試験の後に、KENと待ち合わせをしていた。

カナダに帰ってから始めてKENに会う。2ケ月ぶりにKENに会える。私は、まるで初めてのデートに向かうかの様に、昨日から何を着て行こうかとホームスティ先の姿見を見ながら服選びに余念がなかった。

待ち合わせ場所に行くと、既にKENが待っている。嬉しくて、KENに駆け寄ると、KENがそっと私を抱き寄せてくれた。

私よりも1週間早くカナダに帰っていたKENは、先週のうちにサレー市教育委員会の英語力試験を受け終わっていた。

「KEN、今日の試験もの凄く難しかった。KENはどうだった?」

「美紅が受けた試験は、僕と同じ試験問題だったのかな? 確かに難しかったね」

「なんで、もの凄く難しいぞと、教えてくれなかったのよ?」

少し拗ねてみせると、

「日本で勉強さぼったな?」

「え?確かに、さぼっていたけど」

「ははは。僕も韓国ではさぼっていたよ」

「何よ、KENだってさぼってたんじゃん」

KENの日本語は益々上達している様に思う。私の韓国語は? だめだめ、もっと韓国語も勉強しなくちゃ。韓国語と日本語は文法が同じなので、語彙力を身につければ意外にスピーキングだけならば、かなり喋れる様になれる。私は今回の日本帰国で、東京堂書店に行き、韓国語会話の本を買い込んできたのだ。KEN、楽しみにしていてね。私もいつかKENの日本語に負けないレベルの韓国語が喋れる様になるからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る