第5話; はじめての友だち

彼女の名前はリサ。

リサの家に遊びに行くと、いつも誰もいない。

私の家は、いつ帰ってもママがいて、美紅が帰ると、すぐにママの手作りのクッキーやケーキなどのおやつを出してくれて、今日学校であったことを何でも聞いてくれる。

でも、リサの家はいつ遊びに行っても家族は誰もいない。

リサに聞くと、パパとママは離婚して、ママは夜スナックで働いているから、学校が終わって家に帰ってくる頃にはママは仕事に出かけていて、いつも一人でママが準備してくれたご飯を食べているそうだ。

私達二人が不良と言うレッテルを貼られるには、それほどの時間はかからなかった。

中学に入って初めての夏休みは、毎日リサの家で過ごした。

私がタバコを覚えたのは中学一年生の夏休みだ。

二学期に入って暫くすると、リサの家は中学一年生だけに留まらず、二年生、三年生も含めた不良グループのたまり場になっていた。

毎朝学校には行くけれど、リサのママが仕事に行く時間を見計らい、授業をふけてリサの家に行けば、そこには必ず誰かがいたし、そして私を受け入れてくれた。

不良グループに席を置いておけば、学校で誰かに苛められることもなくなったし、反対に私はクラスメート全員に怖がられ、私と話す時には必ず敬語で対応された。

私がロストバージンをしたのも中学一年生の時だった。相手は誰だっけ? 未だに思い出せない。初めてのセックスは痛いだけで決して気持ちの良いものではなかったけれど、中学を卒業する頃には、レイプされることにも慣れ、赤ちゃんが出来ない様にピルの服用もしていた。相手はレイプをしている意識はなく同意のつもりらしいが、私の体の上に誰かが乗り、射精が終わったら、次に誰かが乗ってくる。そいつらの体の匂いはまるで獣みたいで、私の中では決して同意ではなく、それは間違いなくレイプだった。

それでも、私はリサの家に行くのを止めなかった。そこだけが私の居場所であり、誰もが私の存在を認めて受け入れてくれたからだ。

そんな私が恋なんてするわけがないし、恋って何かさえ分からなかった。

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