オマエガワルイ ─裏切りのデスゲーム─

ともや先生

第1話 死

「お前のせいだ……」


視界が真っ暗になる。 


前にいた人影も見えないほどに。




ゆっくりと膝からその場に倒れこむ。


「お前のせいで、あいつが死んだ!!」




あぁ……。涙がこぼれる。






「全部お前のせいだ!オマエガワルイ」








………。


…………。


……………。




❮学校❯




「おーい!起きろ!」




頭に何かが当たる。


何か、硬い……。




重く閉ざされた瞼をゆっくり開ける。


ここは、学校か?




硬いものの正体を確かめるべく、手で頭を探る。




「いってぇな、先生!」


周りから笑い声が聞こえる。




教科書…か。


先生に教科書で叩かれたとこは今でもヒリヒリしている。




先生も笑顔で笑い、


「やっと起きたか、八雲。HR中に見る夢はいい夢だったか?」




………。




「八雲…?お前泣いているのか?」




「え?」


目を擦ると大粒の涙が手に当たる。




「まぁ、いい。じゃあ皆前を向いてくれ!」




一斉に先生の方へ椅子を向ける。




「これでHRを終わるが皆から何かあるか?」




首を横にふる。


それにしても何で泣いてるんだろう…。


思い至る節がない。




「よし!無いなら以上だ。」




教室は一気に賑やかになる。




俺は、八雲圭。現在、高校二年生の学生である。


まぁこれといっとことは無いが、むしろ言うなら友達が多い。




「おーい!八雲!次体育だぜ!一緒に行こーや」




教室の端の机から大声でこちらに向かって話しているのが、


北城智。




人当たりもよく、クラスではいつも中心にいる男。(彼女持ち)


小学生の時からの親友でメチャクチャ仲がいい。




「おう!」 




駆け足で北城の所へ向かう。


さっきまで寝てたのが嘘みたいに体が軽い。




「さっき、お前何で泣いてたんだ?もしかして、失恋!」




「好きな人がいるなら俺にいってくれよー!相談に乗るからさ」 




歩きながら俺をちゃかす。




「いや、ちげぇって、俺も何で泣いてたか覚えてないけど、夢を見てたんだ。」




「ほぉう?」




「とても悲しい夢……」




××オマエガワルイ××




な、何だ?!


頭の中でその言葉が反響している。




××オマエガワルイ!××




止めてくれ!


頭を抱えてうずくまる。




「おいどうした!八雲!頭でも痛いなら保健室に!」




あぁ…。


もうなんなんだよ。


俺、死ぬのかな。 




朦朧とした意識の中、今までの思い出が浮かび上がってくる。




俺の人生、なんだっだろうな。




………。




だんだんと意識が遠ざかる。




❮???❯




「おい!ここは、何処なんだよ!説明しろよ!」




「うるせぇな!耳元でしゃべんな!巨人男!」




「怖い……です…」




………。




奥のほうから声が聞こえる。


大人の野太い声。声を張り上げた声。脅えている子供の声。




ここは天国…?




俺は死んだ…のか?




色々な想像が思い付くがまずは自分に何があったのか思い出す。




「八雲!起きたか!」




……ん?この声は、




重い体をゆっくりと持ち上げる。




「智!!」




俺は親友の名前を大声で叫ぶ。




「体調はどうだ?」




「あぁ、もう大丈夫だ。それより、ここは何処なんだ?」




周りを見渡す。




見る限り………天国では無さそうだ。


まず、智がいる時点で俺が死んでないことが分かる。




それと、なんだ?


知らない人が青ざめた顔で怒鳴り散らしている。




「それなんだが、俺にも分からん!八雲を保健室に連れて行ったらいつの間にか、ここに居たんだ。」




「そうか…」




智も、他の人と同じで青ざめている。




「ハーイ!皆さん!こちらを見てぇください!」




何だ…?




………!




空から何かが降りてきている?!




「おい!あれを見ろ!」




何処からか声が聞こえる。




「私の名前ぇは、エルシア…。今回のぉ、ゲィムの主催者と言った方がぁ、良いですかねぇ?」




「何だよ!ゲームって!俺らを拉致して何が目的だ!」




エルシアに向かって、筋肉質の男性が声を張り上げる。




「そうです!ここは何処なんですか!」




筋肉質の男性に続いて、小さな子供が答う。




エルシアはこちらを向き微笑む。




「うるさいんですょ…?これから説明するところなのにぃ!」




「早く説明しろよ!」




………。




「うるさいって言いましたよねぇ?あなた死にたいんですか?」




え?




「ふふ あはは!あはははははは!」




エルシアは笑いだす。




「決めましたぁ…!あなた、何か言いたい事はありますかぁ?」




筋肉質の男性に向かって指を指す。




何を…決めたんだ?




………。




嫌な予感がする。




「あぁん?だから俺らを拉致して何がしたいんだ!って」




エルシアはゆっくりと地面に足をつける。


そして、




「最後の言葉がそれで良いんですね?」




「え?いや、なに言って」




時が止まったかのように、場がこの一言で凍りつく。




「はい!みなさぁん!こちらにご注目!」




エルシアは筋肉質の男性を持ち上げる。




「おい!離せ!な、何をする気だ‼」




「何って、公開処刑ですよ?まぁ、いえば見せしめぇ?」




何を言っているんだ?




まさか、ほんとに処刑する訳でわけないよな?




誰もが信じられなかった。いや、認めなくないのだ。現実だと。




「では処刑を開始しまぁーす!」




「う、う、嘘だろ?な、嘘なんだろ?おい!」




エルシアが向かう先には十字架が設置されている。




十字架には拘束する為の器具がついており、したには藁や薪などがひかれている。




十字架の目の前につくと、手、足、首を拘束していく。




「では、処刑ースタート!」




エルシアが元気よく言うと、十字架の下の藁や薪に火が灯る。




「助けて!火が、火が!熱い!」




男の叫びが響き渡る。




「この処刑道具の良いところはですねぇー」




「肌が焼けても、皮膚が取れても、中々死なせてくれないんですよー」 




「誰…か!助…けて」




………………。




「では、ゲィムの説明をしますねぇー」




この時、この場にいる全員が恐怖を釘付けられた。




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