第二章

600文字以内で 前回のあらすじ

 十四歳の少女、あたり輝耶かぐやは、貴雲きうんはんの南側で、祖父と魔除まよけ屋を営む、元気な少女。


 幼い頃に行方不明となった初恋の少年『皇牙こうが』を心配し、十年経った今でも、想い続けていた。


 ある日、輝耶が夜の食べ歩きを楽しんでいたときのこと、なじみの八百屋やおやに入る泥棒を、偶然に目撃してしまう。


 体が異様に柔らかく、手足の長い泥棒は、輝耶の目には「妖怪」に映った。悪事を働いた妖怪は、輝耶が不本意ながら所属している「討伐とうばつ組合くみあい」により、討伐される決まりがある。


 火乃ひの神将しんしょう騰蛇とうだと、同じく朱雀すざくに帰りを急かされる中、輝耶は討伐組合の一人として、泥棒の調査のために八百屋へ向かう。

 だが、かんばしい結果を得られず、輝耶たちはしかたなく家路いえじについた。


 輝耶の住む「あたり」の前では、祖父のあたり陰直かげなおが、孫の無断外出に激怒していた。年頃の孫娘を思うあまりに、口うるさくなってしまうのだと輝耶もわかってはいるのだが、つい口答えを。


 これがいつものやりとりだったが、今日は少しだけ、違った。

 祖父いわく、貴雲城から婚礼を急ぐ命令がきているとのこと。期限は、輝耶が十五歳を迎えるまでの、四ヵ月以内。


 輝耶は高齢な祖父を気遣い、皇牙をあきらめて別の人を婿むこに迎えると告げるが、絶対にあきらめてはならぬと祖父は激励する。


 いったい皇牙は、どこにいるのだろうか。なんの手がかりもないのだった。


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