二十六話目~たける視点~

━今日、俺達は高校生活最後の年、高校三年生に進級する。あと一年で高校生活が終わってしまうと何かと思うと何だか寂しく感じてしまう━


俺は学校の準備をしながらそんな事を思っていた。


ピンポーン...


準備が終わるころ、玄関のインターホンが鳴った。

いつもの様にきよみが来たのだ。


「おはよ、学校だね。もう行けるから行こっか」

「うん」


高校二年生になってから俺は、きよみが着く迄には準備を終わらせているようにしていた。


「今日から高校生活最後の年になるね...」

「そうだな」

「でも、私達進路の考えは決まったし、希望の進路に向けて頑張る年でもあるからね」

「だよな...」

「たけるは、やっぱりゲーミングプログラマーになるんだよね」

「ああ。専門学校に行くつもり」

「勉強頑張らないとね」

「ああ。きよみはやっぱアイドルを目指すのか?」

「んー...そうだね。他にしたいことが無いし、アイドルをずっと目指してたから他の道に進む事は無いね。多分...」

「そうか...」


学校に行きながら、そんな真面目な話をしていた。

一年の頃に比べると、体もだが、行動も大人に近づいていた。

きよみは、アイドルを目指しているらしい。

いつも無理だ無理だ言いながら、アイドルになる為に色々と考えて動いている事を俺は知っている。

その努力を無駄にして欲しくない。そんな思いを抱きながら、俺はきよみの事を温かく見守ることにしていた。


━しかし、努力が報われないという話はおかしいと思う。

高二の間、きよみはずっとアイドル事務所などに応募したりして、アイドルになるべく奔走していた。

しかし、その努力が#尽__ことごと__#く打ち砕かれてしまうのは違うと俺は思う。

見ている俺からしたら、きよみがアイドルになれる気配が一向にしないのだ。

そのせいなのか、きよみはいつも焦っていた。


俺は、高三になった今、きよみがアイドルになれるよう、支えていこうと思っている。

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