二十五話目~きよみ視点~

━今日、私達は高校生活最後の年、高校三年生に進級する。あと一年で高校生活が終わってしまうのかと何かと寂しく感じる。━


私はいつもの様にたけるの事を迎えに行く道中、そんな事を考えていた。

私の家からたけるの家までは歩きでほんの二、三分で着くため、ちょっと考え事をするだけでもたけるの家に着いてしまう。

私はいつものようにたけるの家のインターホンを押す。


「おはよ、学校だね。もう行けるから行こっか」

「うん」


高校二年生になってから、私が着く頃にはもうたけるは準備を終わらせているようになった。

そのせいか、私が登校の時にたけるの家へ上がる事はもう無くなっていた。


「今日から高校生活最後の年になるね...」

「そうだな」

「でも、私達進路の考えは決まったし、希望の進路に向けて頑張る年でもあるからね」

「だよな...」

「たけるは、やっぱりゲーミングプログラマーになるんだよね」

「ああ。専門学校に行くつもり」

「勉強頑張らないとね」

「ああ。きよみはやっぱアイドルを目指すのか?」

「んー...そうだね。他にしたいことが無いし、アイドルをずっと目指してたから他の道に進む事は無いね。多分...」

「そうか...」


私達は受験生らしく進路について話していた。


『したいことが無いから』


私はそんな考えに甘えてアイドルを諦めない訳では無い。

アイドルになって、みんなから愛されるような存在になりたいなと思っている。

しかし、現実に私は高校二年生の間にアイドルの応募を頑張ってきたが、#尽__ことごと__#く落ちてきた。

そして、本当にアイドル以外にしたいことが無いのだ。

だから、アイドルを目指し続けていた。

諦めるつもりは一切ない。

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