二十二話目~たける視点~

コンコン...


俺が寝ていると、ノックが聞こえてきた。

━━あ...きよみが来たんだな

俺はそう思いながら、玄関を開けた。



「おはよー」

「あぁ、おはよ。あれ?今日...あ、学校か」

「そうだよー、行こー?」

「そうだね...上がっていつもの部屋で待ってて」

「わかった!」


俺は、いつもの様にきよみを奥の部屋で待たせた。

それから俺は急いで着替えた後にきよみの所へと向かった。


「じゃ、行こっか」

「うん」


きよみに声をかけ、俺達は一緒に学校へと向かい始めた。


「いつも来てくれてありがとな」

「ううん。良いんだよ」

「これからは俺が迎えに行っても良いか?」

「あ、うん...良いよ。ありがとう」


俺は、少し申し訳ない気持ちがあったため、これからは俺がきよみを迎えに行くという話でまとまった。

きよみは、何か不満そうな顔で俺を見てきていた。


「...嫌だったか?」

「ううん、大丈夫だよ。気にしないでよ」

「そうか?」

「うん、そうだよ」


俺が迎えに行くのは不満なのだろうか...と思って、きよみに確認するが別に気にしていないらしい。

そんな話をしているうちに、学校に着いてしまった。


「今日から今年度最後の学期が始まるんだな...」

「そうだね...改めて考えてみるとなんか感慨受けちゃう...」

「だよな...」


俺の言葉をきっかけに俺達は三学期について、感傷にひたってしまった。


キーン、コーン、カーン、コーン...


「あ!#予鈴__よれい__#がなっちゃったよ!早く行かないと!」

「だな!」


予鈴の音とともに俺達は急いで教室へと向かった...


━━それからおよそ二ヶ月と半月がたった頃、俺達はもうすぐ高校二年生になる。

しかし、その前に俺はまた失敗を#犯__おか__#してしまった。

それは...



━━あれは一月、三学期が始まってから半月くらい経った頃、俺は変わらずバイトをしていた。

それが祟ったのか、俺はまた倒れてしまったのだ。


「ん...ここは...?」

「たける!良かった...」

「きよみ!?ここは...病院か」

「たける、私に嘘ついてたでしょ!」

「え...な、何の事かな...」

「しらばっくれないで、話はもう分かってる」

「う...ごめん」

「ごめんで済む話ならこんなに怒らないから...」


本当にごめん...━そう言って、俺は平謝りした。

目を覚ますとそこは病室だった。

また、きよみもいた。


あぁ、俺、また失敗してしまった...

心配かけないって心に誓ったのに...


後から聞いた話だが俺、疲労によって死にかけていたらしい。

現に一週間くらい昏睡状態してたらしい。

━俺、そんなに体に無理させてたのか...

後悔を通り過ぎて呆然としてしまった。


「ところで...」


きよみは俺に質問を投げかけてきた。

“本当はどのくらいの時間働いてたのか”と。

俺は正直に17-23の6時間、土日祝は9-23の14時間働いていることを打ち明けた。

やっぱり...━きよみはそう言って俯いてしまった。そして


「私も一緒に働く。だからたける、シフト減らして」


と言ってきた。

俺の事を心配して、一緒にバイトしてくれるのか...

俺は感動した、嬉しかったのだ。


「分かった。約束する」


そして、治療を終え、俺達はその足で俺のバイト先、ミセドへと向かって、きよみが俺の負担を分担して負うと言って、働くことを店長へと告げた。

そこで店長は驚きの事を言ってきたのだ。

それは、俺が相当な時間働いていて、時給で計算しても、社員クラスの給料を稼いでいた事だ。

正直言って、俺も驚いた。まだ給料は貰ってない(まだ一ヶ月も経っていないからだ)

しかし、きよみが入ることでシフトを調整して、普通のバイトと同じ様な給料に来月からなれるそうだ。

店長自身、俺には何回も考え直すように言っていた。

「無理はするなよ」

と。

しかし、俺は頑なに考えを直すことは出来なかった。

そして、二度も倒れてしまった事で、#強制解雇__クビ__#にしようかと考えてしまっていたらしい。

話を聞きながら俺は冷や汗がでてきた。


そんなことがあり今、俺は普通のバイトと向き合っていた。


店長ときよみのダブル監視で無理は出来なくされていたからだ。


もうすぐ高校二年という一つの区切りが訪れる。

俺はバイトを続けるつもりだ。

携帯代を払わなければいけないからだ。

それに...


最近学校で“そろそろ進路について考えようぜ”などという会話をよく耳にする。

俺としては、ゲーミングプログラマーになる夢は諦めていないつもりだ。

だから、その専門の勉強ができる学校に行こうと思っていた。

その為に、お金を貯めなければならない。

だから、俺はバイトを辞める訳にはいかない。


俺は、バイトを辞めるつもりは...


ゼッッッッタイない!!!

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