二十一話目~きよみ視点~
今日から三学期が始まる。
昨日のたけるの件が今もまだ心配だけど、たけるなら分かってくれてるはず。
今、私は二学期の頃のようにたけるを迎えに向かっている。
いつも、たけるの事を迎えに行っているが、たまには迎えに来て欲しいなと言う#我儘__わがまま__#な気持ちが最近芽生えて来ている気がする。
(今日、たけるに頼んでみようかな)
そんな事を考えていたら、たけるの家に着いてしまった。
「おはよー」
「あぁ、おはよ。あれ?今日...あ、学校か」
「そうだよー、行こー?」
「そうだね...上がっていつもの部屋で待ってて」
「わかった!」
私は、いつもの様にたけるの事を奥の部屋で待った。
いつもの様にたけるは急いで着替えて来てくれる。
「じゃ、行こっか」
「うん」
最近、いつもの様に一緒に行ける事は、本当にかけがえのない大事な思い出なんだと思い始めてきた。
私達は一緒に学校へと向かい始めた。
「いつも来てくれてありがとな」
「ううん。良いんだよ」
「これからは俺が迎えに行っても良いか?」
「あ、うん...良いよ。ありがとう」
(く、先に言われてしまった...)
私が言おうと思っていたことをたけるに先駆けされてしまった。
まぁ、いっか、結果は同じ事だって分かったし。
「...嫌だったか?」
「ううん、大丈夫だよ。気にしないでよ」
「そうか?」
「うん、そうだよ」
私の気持ちが顔に出ていたのかどうなのか分からないが、たけるは勘違いをしてしまった。
私は、たけるの勘違いを#解__と__#いた。
そして、そんな話をしているうちに、学校に着いた。
「今日から今年度最後の学期が始まるんだな...」
「そうだね...改めて考えてみるとなんか感慨受けちゃう...」
「だよな...」
私達は三学期について、何となく感傷にひたってしまった。
キーン、コーン、カーン、コーン...
「あ!#予鈴__よれい__#がなっちゃったよ!早く行かないと!」
「だな!」
予鈴の音とともに私達は急いで教室へと向かった...
━━そこから。二ヶ月と半月、私達は春休みと進級が目の前になって来ていた。
三学期の間は、重大な事が発覚した。
それは...
━━たけるがバイトについて嘘をついていたこと
まぁ私に心配かけたくない気持ちは分かるけど、嘘はついて欲しくはなかったな...
え?なんで分かったのかって?
それは三学期入って少しして、たけるがまた倒れたって連絡があったからだ。
その時はまたもやビックリしてしまった。
もう大丈夫だと信じていたのに、裏切られてしまったことがとにかく悲しかった。
こんどは栄養失調どころの話じゃ済まなくなってしまっていた。
しばらく入院しないといけないような事態になっていた。
しかも昏睡状態。
私はもうその時には、さっき言ったような感情はもう無くなってて、心配一筋の気持ちでいっぱいだった。
そこで、昏睡状態が治るまで一週間くらい掛かった。
たけるが目を覚ました時は安心で涙がボロボロと溢れてしまった。
たけるに何度も謝られたが、“そんなことよりも目を覚ませて良かった”と思っていた。
そこで、私は詳しいことを聞き、そこでたけるが嘘ついていたこと、本当はバイトの時間を多くして働いていたことを聞くことが出来た。
それから、一週間程、念の為入院を続けた後、無事退院出来た。
たけるには、たけるだけに背負わせないで私も一緒に働くことを伝えた。
それから私は、ミセドの面接をして、私も働ける事になった。
後から店長さんから聞いた話だが、たけるは相当な時間働いていて、時給で計算しても、社員クラスの給料を稼いでいたそうだ。
しかし、私も入ることでシフトを調整して、普通のバイトと同じ様な給料になったそうだ。
店長自身、たけるには何回も考え直すように言っていたらしい。
「無理はするなよ」
と。
しかし、たけるは頑なに考えを直すことは無かった。
そして、二度も倒れてしまった事で、#強制解雇__クビ__#にしようかと考えてしまっていたらしい。
私は、“雇用主になんて心配をかけているんだ”とたけるに思ってしまった。
そんなことがあり、今、たけるは普通のバイトと向き合っていた。
店長と私のダブル監視で無理は出来なくしていたからだ。
これで、たけるはもう倒れることはもうないだろう。
そして、私達は高校二年生というひとつのステップを踏む。
そろそろ進路を考え始めないかという話が聞こえてくる。
担任の先生だ。
進路については、アイドルになる事で決まっていた。
私は、アイドルを諦める気は一切無い。
逆にチャンスの歳になるのだ。
私はチャンスを逃すほど馬鹿じゃない。
その為、バイトをしている傍ら、アイドルについての計画を立てていた。
そして、私は明日からの春休みでアイドルの計画を完全に完成させるつもりだ。
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