十六話目

━━━夏休み終盤・八月下旬頃

あの災害が起こってから一ヶ月ほどになる...

帰ってきてから二人は毎日のように会って、お互いの生存確認をして安心し合っていた。

また、そこで他に話していたのはあの災害の事についてだった。

二人にとって、あの日の出来事は一生忘れることの無い、とても衝撃的な出来事だったのだろう。

特にきよみは、たけるが生きているか怪しい中、無情な言葉を掛けられながらも、不安を背負いながらも、たけるが生きている事を信じていたが、半分ほどは『もう帰って来ないのかな...』と諦めていた節があったのだ。

しかし、たけるの生存が分かった時は、たけるが生きている事を信じていて良かった、と思っただろう。

一方、たけるの方では、津波の中では、少ししか意識が無く、夢を見ていたそうだ。

そこは、見渡す限りの花畑━━まるで天国への入口のようだ━━だったそうだ。

目が覚めたら、そこは高台だったそうだ。

高台に避難していた一人━━この人が後にたけるをきよみの所へと連れて行く事になった━━によると、大きな波が高台へと押し寄せて来たそうだ。

当然の如く、高台にいた人はパニックになったそうだ。

波が何故か引いて行ったので、一同安堵したそうだ。

しかし、高台で一人意識を失ったたけるを見つけたそうだ。

その人によると、『最初は波に気付かずに巻き込まれた人だったのかと思った』そうだ。

しかし、『すぐにそれは違うんだって思った。なんでか分からないけど』

それからたけるはその場に居合わせた医師により応急処置はして貰えたそうだ。

すぐに応急処置をしたからなのか、すぐに目が覚めたそうだ。

そして、何日かしてからきよみがたけるの事を捜している事が分かり、すぐに行こうかと思ったが、津波がまだある為、危険とし、ここには車も何も無いため、波が無くなってから徒歩で行く事になった。

そして、きよみの所へ来た。という話だった。


━━この事は"運が良かったんだね"という話で幕を閉じることになった。

"もうこんな思いはしたくないね"と互いに言い合っていた。


そして、二人はもうすぐ二学期になる学校の話題へと変わって行くことになった━━

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