十四話目~たける視点~
━━━前回の続き
たけるは学校の帰り道できよみと話をしながら帰って来ていた。
それから、きよみ宅へきよみを送った後、たけるは自宅であるマンションへと足を運んだ。
たけるは自宅の鍵を開けようとしたら、鍵が開いていた。
(え!?空き巣!?)
とたけるは思って、扉を開けるとそこには、いつもと変わらない廊下があった。
少し安心したがたけるは警戒を緩めなかった。
(何か盗まれてたりはしてないよな...?というか空き巣の奴がまだ居たりして)
とたけるは思っていた
たけるは自宅を歩き回って何か盗まれたかを確認し始めた。
五分ほど経ってから、特に盗まれたものは無かったので、たけるは安堵した。
そして、たけるは両親の仏壇がある部屋へと向かっていった。
そして、両親の仏壇の目の前にある座布団へと座った後...
チーン...
と鈴(りん)を鳴らしたのちに手を合わせながら
(帰ってきたら鍵が開いていたから、空き巣が入ったのかと思ったけど、俺のただの鍵の閉め忘れのようだった。良かった...てかおっちょこちょいだよな、俺。)
と心の中で思いながら自分を少し責めた。そして
(ところで、お父さん、お母さん。今日な、俺の彼女にお父さん達のことを話したんだ。彼女はやっぱり驚いていたよ、でもな、今度は俺の方が驚くことになったんだよな...)
と心の中で思いながら、その時の事を思い出していた、続いて
(何故かって言うとな、彼女の方のお父さんも亡くなっていたからなんだ...俺は驚いたよ、彼女も親を亡くした身なんだなって思ってな)
とたけるはしみじみとした気持ちでそう思った。
(まぁ、いつに亡くなったのかは聞いてない...というか聞けるわけがないけどな。...まぁ、結局は何事も無かったから良かったよ。もし空き巣だったらやばかったよ)
とたけるが思っていると
《たける、仏壇の棚を見なさい!》
とたけるの心にたけるの母の声で語りかけてきた。
『え!?』とたけるは思ったが、『まさか、そんなことは無いよな』と最悪の場合を思い浮かべた。
そして、恐る恐る棚を開けると、そこには、あるはずの遺族年金の入る通帳が消えていたのだ。
(うそ...だろ?まさか、本当に空き巣だった...?)
とたけるは喪失感を感じていた。
(と、とにかく警察に連絡を!)
とたけるは思ったため、自分の携帯ですぐに警察(110)に電話を掛けた。
━━━プルルル...
「はいもしもし、警察です。事件ですか?事故ですか?」
「あ...事件です。空き巣に入られました...」
「はい、分かりました。それでは、あなたのお名前と住所を教えて下さい。」
そして、たけるは自分の名前とマンションの住所を伝えた。
「...分かりました、すぐに警官を向かわせますね」
「はい、ありがとうございます!」
たけるは感謝を込めて返事をした。
しばらく経ってから...
コンコン...
ガチャ
「はい」
「こんにちは、埼玉県警察の七緒なおと申します、よろしくお願いします」
「あ、はい、よろしくお願いします」
たけるの家に来たのは女性警官だった。
そして、その顔はどこかで見た顔だった...
「それでは、お話を聞きますね」
「はい」
「いつからいつの間、家を空けていましたか?」
「えっと...今日の朝八時から夕方四時位までですね...」
たけるは記憶を探りながら答えた。
「四時まで...っと。それから、何が盗まれましたか?」
「通帳です」
「通帳...ですか、もしかして、遺族年金が入金される通帳ですか?」
「あ、はい、そうですけど...もしかしてですけど、警官さんって、俺が小学生の時...というか小中の間の時に会ったことありますよね?」
「はい、そうですけど?」
警官はたけると両親の三人の事故の担当警官だったのだ!
たけるは記憶を探りながら、この記憶も探っていたのだった。
そして、警官は天使のように微笑みながら答えていた。
「やっぱり!どこかで見た顔だと思いました!」
「ふふっ...あなたの名前を聞いた時、すぐ気が付いて、私が担当者として立ち上がったのよ」
「そうだったんですか...」
「ええ、そうよ...まぁ、話はここまでにして、盗まれたのは通帳だけ?」
警官は普段の顔から仕事の顔に変わるかのようにキリッとなってからそう聞いてきた
「まぁそうですね、それしか家からは無くなってなかったので」
「他に何か不審な点はありましたか?」
「そうですね...あ!玄関の鍵が開いてました」
「なるほど、鍵が開いていた...っと、他には何かありましたか?」
「いえ、他は特に何も無かったです」
「そうですか、分かりました。ありがとうございます!この情報を基に捜査を始めますね」
「はい!お願いします」
たけるは深々と頭を下げた。
━━━翌日、警察がたけるの家を訪ねてきた
コンコン...
ガチャ
「はい」
「おはようございます、埼玉県警察です」
そこに居たのは昨日のあの警官だった。
「あ、おはようございます」
「たけるさん、空き巣犯が見つかりました!というか空き巣じゃなくて、泥棒扱いですね」
「あ、そうだったんですか?犯人は誰だったんですか?」
「あなたの叔父さんのサスケさんよ」
「えぇ!そうなんですか!?」
たけるは驚いて声を上げた
「そうなのよ」
「まさか...なんで...」
「いま、叔父さんに話を聞いています。だから、たけるくんに来てもらって、何か聞いてほしいの、良い?」
「はい、良いですよ」
たけるがそう答えると、警官はたけるを警察署へと連れてきた。
警察署に着いたたけるは叔父にいくつか質問をした。
Q.なぜこんな事を?
A.リストラされたからだよ、お金に困ってしまってな、すまなかった。
Q.今は通帳はどこへ?
A.俺の家だよ、俺の部屋に隠してある。
Q.お金が無かったでしょ、どうするつもりだったの?
A.今度、また盗りに行くつもりだった
Q.今度とは?
A.まぁ、時期を見て、かな
Q.あなたに失望をしてもいい?
A.''...まぁ、こんなことをしてしまったからには失望されてもしょうが無いかなとは思っている"
など、たくさんの質問を投げかけた。
たけるは、刑罰を与えてもらうか、はたまた示談で許すかで悩んでいた。
何故こんなことをしたのかという事はよく分かったたけるは『やっぱり示談で済まそう』と思った。
結局たけるはその日の学校は休んだ。
たけるには、この空き巣{泥棒}は荷が重かったらしい。
叔父が犯人だった事も相まっていただろう。
━━━天国にて(たけるの母親視点)
(良かった、私の声が届いて。まさかサスケ兄さんがあんな事をするなんて、信じられなかったわ...)
(そうだな、まさか盗みなんて事をするなんてな)
(信じたくはないわ、今でも)
(これはたけるには荷が重すぎる事だ)
(そうよそうよ)
(やはり俺達がこっちに来たのは間違いだったのか...)
天国では、たけるの両親が一連の流れを見て、そんな感想を言い合っていた。
天国という所では、口で物を伝えなくとも、テレパシーで物事を伝えられる。
二人は心の中で思うだけで伝えられる。
かれこれ3年程だろうか...
二人は天国へ来てからはずっとたけるの事を見守ってきていた。
たけるは高校に入ってから、親と真剣に向き合うようになった。
きっかけはきよみだった。
きよみとの出会いがたけるを変えたのだ。
そして、両親は、嬉しさとともに応援をしようという気持ちが芽生えた。
二人にとってたった一人の息子の初恋、応援する他ないだろう、と
両親は日々、たけるときよみの関係が良好である事を祈っていた...
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