番外編三~???視点~

...クソ!...これからどうするんだよ...『リストラ』なんかされちまったのに...


...そうだ。『奴』の年金があるじゃねえか



ここは埼玉県の一所にある一軒家の一室である。

その一室で一人の男が何やらつぶやいていた。

彼はたけるの叔父。


~たけるの叔父視点~


彼はいまさっき働いていた証券会社を『リストラ』されたばかりである。

また、彼の言う『奴』とは、たけるの事である。


彼は、たけるの年金をどうしようというのか、それは彼の一言ですぐ分かった。


'"盗ろう!,,,


という一言で...


それから彼は、たけるの住むマンションへ向かった。幸か不幸かたけるの部屋の鍵(スペアキー)を持っていたため、何事もなく入ることが出来た。

そして彼はたけるの部屋を物色し始めた。

今の時間は、十三時十八分。たけるが帰ってくるまでにはまだ時間がある。


(クソ...どこだ、どこにあるんだ...?)


そして、彼はしばらくたけるの部屋の隅から隅まで探し続け、ようやくたけるの両親を祭っている仏壇の箱に遺族年金の入っている通帳があるのを見つけた。


(あった!これで...)


彼はその通帳を持って、たけるの部屋から出て行った。


━━━ちなみに彼は、慌てるあまり、部屋の鍵を施錠するのを忘れていた。

この鍵の施錠忘れが、彼が通帳ドロボーの犯人だということに行き着くまでに時間がかかってしまう要因となってしまうのだった...


そして、彼は自宅へ帰り、通帳の中身を確認した。


─名前...たける


─当通帳作成銀行...なろう銀行埼玉支店


─最大預金額...1000万円


─P6


─5-12 なろう年金機構→¥140,000 計 ¥140,000


(...え?14...万円...だと?)


彼は、期待を裏切られた気分になった。

そして、金額の少なさに驚きを隠すことが出来なかった。

さらに、その次の頁を見て、彼は再び驚く事になる。


─5-13 引き出し→¥140,000 計 ¥0


(0円...だと...)


なんと、たけるはきっちり全額抜き出していた。

その頁を見て、彼は肩を落とし、大きく息を吐いた。


(どう...しよう...)


彼は、二つの選択肢を思い付いた。


1.諦める

2.もう1つの通帳を探しに行く


今の時刻は、15時34分。まもなくたけるが帰宅する頃だ。


(今から行くのは危険だ。どうすることも出来ない、日を改めるしかない...)


彼は、危険を冒してまで通帳を取りに行くつもりは無いようだ。

そして、彼は自室に籠り、次の日を迎えたのだった。



━━━そして、彼はこれからどうなって行くのか、彼は薄々気が付いているようだが、今は伏せておこう。

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