十二話目~たける視点~

━━━前回(十話目)の続き


きよみからきちんと食事を摂ることを約束させられたたける。

そして、きよみの家で食事をする可能性が出た。


「そうだ、学校に行く準備をしましょうよ」

「そうだね」


そんなたけるたちは、きよみの一言で学校へ行く準備を始めた。

きよみは家の奥へ向かった。

たけるは制服を着て来ただけだったので自宅へ一旦帰って、学用品をまとめた。

そして、きよみの家へ向かい、そのままきよみと一緒に学校へ行こうとする。


「「いってきます」」


二人が一緒にそう言うと、


「いってらっしゃい」


きよみの母がそう返した。


道中たけるは、チラッチラッときよみの方を見ながら歩いていた。その顔は少し赤くなっていた。

そして、きよみはと言うと、無言で歩みを進めていた。


━━━それから、結局何も話さず学校に到着してしまった二人...


たけるは、教室に着くや否や自分の机に座って突っ伏してしまった。


それから授業を適当に受け、昼休みになってしまう。


「あのぅ...」


そこに一人の女子がたけるに話しかけてきた。


「ん?どうしたの?」

「あの私、きよみの友だちなんですけど、きよみから伝言があって、一緒に帰りたいから放課後になったらきよみの所へ行くようにって言われたので、お願いします」

「あぁ、うん。わかった、ありがとう」


話によると、きよみからの伝言だそうで、内容としては、『放課後にきよみの所へ行くこと』という事だそうだ。


それから、たける達は午後の授業を受け、夕方近くにその日の最後の授業が終わった。


たけるは、言われた通りにきよみの所へ向かった。


コンコン、と机にノックするときよみが顔を上げた。


「あっ...たけるさん...」

「さぁ、言った時間になったよ、帰ろ」

「えっ?」


たけるがそう言うと、きよみは驚いた表情になり、後ろを向いた。


「やっぱりダメかな?」

「い、いえいえ!大丈夫です...よ?」


たけるは、不安になって尋ねると、きよみは 首を振って大丈夫だと言った。

きよみは急いで学用品をまとめていた。


「お待たせしました、帰りましょう」

「おぅ」


そして、帰路へ着いた。

たけるは、きよみの一緒に帰りたいから、と言う理由が気になっていた。


「あの」

「うん」

「たけるさんのご両親って、共働きなんですか?」

「...いや。なんで?」

「今朝来た時、バナナしか食べてこなかったじゃないですか。何でかなって思って」


きよみからの質問が飛んできた。

しかし、たけるは答えに戸惑った。

たけるは決心をして、きよみの方を向いて答え始める。


「...あのさ」

「はい」

「実を言うとな、俺の両親な、小学の時に死んじゃったんだ...」

「えっ!?」


きよみは、たけるの言葉に激しく驚いた様子だった。


「実は、私の父も小学生の時に亡くなっちゃったんです...」

「そうだったんだ...衝撃...だよな、身内、というか家族が死ぬ、なんて...」

「そうですね...」


たけるの言葉にきよみは力なく答えた。


たけるときよみ。

二人は何らかの運命によって引き寄せられたのではないのだろうか?

二人が本屋で出会ったのは偶然じゃなく、必然だったのではないのだろうか。

二人のこれからの進展が期待される。


━━━━しかし、たけるに悲劇が襲うことはたける自身は知る由はない。

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