十一話目~きよみ視点~
━━━前回(九話目)の続き
たけるにきちんと食事を摂ることを約束させたきよみ。
そして、きよみの家で食事をする可能性が...
「そうだ、学校に行く準備をしましょうよ」
「そうだね」
そんな二人は、きよみの一言で学校へ行く準備を始めた。
きよみは自室へ向かい、学用品を揃えた。
たけるは制服を着て来ただけのようで自宅へ一旦帰った。
しばらくすると鞄を持って帰ってきた。
それから二人は学校へと向かった。
「「いってきます」」
二人が一緒にそう言うと、
「いってらっしゃい」
きよみの母がそう返した。
いつもと違う登校方法で、きよみは少し恥ずかしいのか、無言で歩みを進めていた。
━━━それから、結局何も話さず学校に到着してしまった二人...
「はぁ...」
「きよみ、どうしたん?ってか昨日の告白はどうだったん?」
教室できよみがため息を吐(つ)いていると、友人であるあるゆながどうしたのか、と方に手を乗せた。そして、大事な事を思い出したかのようにはっとなり、ニヤニヤしながら告白について聞いた。
「えっと...まぁ、告白は成功しt...」
「よかったじゃん!!」
「それでね、今日一緒に学校に来t...」
「おぉ!?」
「でも、何も話さずに来ちゃった...」
「そうなんだ。何か勿体ないなぁ...せっかくなら話せばいいのに」
途中、ゆなは話を途中で切って相槌を打ったのち、助言した。
「うーん...」
すると、ゆなは何かを考え込んでしまった。
しばらくすると
「そうだ!いい事を思いついた!」
「え、なになに?」
「秘密っ」
「えぇ...」
ゆなは手を打っていい案が出たらしい。
きよみが何かと聞くがゆなはいたずらっ子のように満面の笑みで答えなかった。
きよみは残念だと言わんばかりに落ち込んだ。
それから、きよみ達はその日の授業を受け、夕方近くにその日の最後の授業が終わった。
コンコン...と言う音にきよみが顔を上げると...
「あっ...たけるさん...」
「さぁ、言った時間になったよ、帰ろ」
「えっ?」
そこにはたけるがいた。
そして、たけるの言った言葉にきよみは驚愕を隠せなかった。
ふとゆなの方を見ると、イタズラが成功したと言わんばかりにニコニコしながら頑張れとガッツをしていた。
(やられた...)
きよみの心の声を表すならばこんな感じだろうか。
「やっぱりダメかな?」
「い、いえいえ!大丈夫です...よ?」
たけるが不安気に確認をしてきたので、きよみは慌てて返事をした。
きよみは急いで学用品をまとめた。
「お待たせしました、帰りましょう」
「おぅ」
そして、帰路へ着いた。
また、きよみは今度こそ話す、と心に決めていた。
「あの」
「うん」
「たけるさんのご両親って、共働きなんですか?」
「...いや。なんで?」
「今朝来た時、バナナしか食べてこなかったじゃないですか。何でかなって思って」
きよみはふと思った疑問をたけるに投げかけた。
「...あのさ」
「はい」
「実を言うとな、俺の両親な、小学の時に死んじゃったんだ...」
「えっ!?」
たけるの両親の事を聞き、きよみは驚きのあまり口に手を当てた。
「実は、私の父も小学生の時に亡くなっちゃったんです...」
「そうだったんだ...衝撃...だよな、身内、というか家族が死ぬ、なんて...」
「そうですね...」
きよみもたけるに釣られて父親の事を話した。
今のきよみには、たけるの心がポッカリと穴が空いてるように見えた。
たけるの力ない言葉にきよみも同じ様にしか返せなかった。
お互い、親を亡くしている事により、周りの手助けが必要だった。
幸い、きよみには母親が居ることによって、家事などの事は教えてもらい、今は母親に仕事を頑張ってもらって、しっかりと生活を立て直すべく力を尽くして行っていた。
結局、きよみの決意は親の死の話によって打ち砕かれてしまうのであった...
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