第37話 Story of SK -Discharged from a communist-

裁判の後 私は担っていた仕事を失った

裁判の後 私は共産党員の資格も失った


冤罪と言えど罪は罪 知らぬならただの罪

彼等からすれば罪人はおけないということなのだろう


上告すれば取り消しになるのでは? フェーニャは言ったが

何を言われても 私にはそうするつもりはなかった


万年人手不足のトルカチの仕事ならば

今の職場じゃない所の何処かしらに入れるだろうし

共産党員だったなんて最近まで忘れていた程

今更どうでもいいようなことではないか


フェーニャにはそう言い

それは決して嘘ではなかったのだけれど


私はそれ以上に

あの茶番を早々に終わらせたかった

あの連中と関わっていたくなかった


このシリアルキラーという本性が

何処かしらで知られてしまわないように


そう 私はシリアルキラー それは変わらない

ずっと変わらない 変えられない

永遠に 死ぬるその日まで


その本性のせいで 裁判にまでなったというのに

今でも赤い狂気が私を駆り立てる

今でも赤い狂気が私を突き動かす


女を見かけるといつでも

どう犯して どう殺すか想像してしまう

子供を見かけるといつでも

どう犯して どう殺すか想像してしまう

どんな人を見かけたとしても

どう犯して どう殺すか想像してしまい


その想像が止められない

体の震えが止まらない 嗚呼


血肉熱死 血肉熱死 血肉熱死

肉肉赤赤 肉肉赤赤 赤赤赤赤

死死死死死死死死


殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい

殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい

殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい

殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい


嗚呼 脳味噌が殺意の紅で埋め尽くされて逝く


麻薬のように 性質の悪い酒のように

赤くて黒い罪の味への飢えが

私を何度でも狂わせる


トルカチの仕事なんて どうでもいい

共産党員の資格なんて どうでもいい

あらゆるものを失っても どうでもいい

ただ人を犯して 殺して 食らいたい


出所したばかりだとか どうでもいい

民警達に目をつけられたとか どうでもいい

この身も何もかも どうでもいい

ただ人を犯して 殺して 食らいたい


化物はずっと化物のまま 人には戻れない

死神はずっと死神のまま 人には戻れない


昨日も今日もそして明日も 殺れる限り人を殺し続ける

朽ち果て骨に還る その最期までずっと

もしくは社会的に完全に死ぬまでずっと


狂気の宴は続いていく

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