第38話 Novocherkassk -not to attract attentions-

万年人手不足のトルカチの仕事ならば

今の職場じゃない所の何処かしらに入れるだろう

その予想通り 私はノヴォチェルカッスクにて

再びトルカチの仕事を得ることができた


今までなら 喜びながら気軽に

今日は手軽に仕事先の町で1人

明日はちょっと足を延ばして1人

明後日は仕事先の別の町でまた1人


血肉熱死 血肉熱死 血肉熱死

肉肉赤赤 肉肉赤赤 赤赤赤赤

死死死死死死死死


狂気の宴となったところだが

もう 気軽に宴は開けない


誰かが私を見ている気がする

誰かが私を見張っている気がする


そして恐らくそれは 気のせいではない


ザナソフスキーか それとも別の誰かか?

私に殺人の疑いを持っている者はゼロではない


あの取り調べの人か それとも別の誰かか?

私を怪しいと思う者は常にいて

常に私に目を向けている

不明ならそう考えるべきで


バス停で獲物に声をかけ誘い 殺すといった

今まで通りの殺しをしてはならなくなった

今まで通りの殺しから変える必要があった

今まで通りの殺しでは杜撰過ぎてダメなので

より手間をかける必要性が生まれたのだ


まずは舞台となる街の下調べ

町歩きを楽しむように 名産品を味わいつつ

同時にこっそり人気のない場所も把握


またその下調べにはブラフを混ぜ込む

関係のない町もまた見て歩き

町歩きに趣味の色を濃くしておくのだ


次に殺しの日取りを決める

家に帰れないその日しかできないが

帰れないからといって必ず

殺しをするとは限らない

限れない


私が家に帰れない日に必ず殺しが出ると

それが疑いを強くする結果となりかねないからだ


殺しの日を決めたら その日は早めに宿舎に入る

堂々と宿舎に入り 監視がいたら分かるようにしておく

さらに部屋に入ったら灯を付け 休憩を満喫する

その間は本を広げるなどして時間を潰す


ある程度時間が過ぎたならば お出掛けの時間だ

灯を付けたまま 私が部屋にいることを装った上で

変装をした上でこっそりと宿舎から出る

今度は私であると分からないように


後は人気のない場所で待機

肉食獣のように獲物を待つ


獲物が来たならば 問答無用で気絶させ

人気のない場所へと連れ込んでゆく


そこまでやれれば後は宴だ

いつも通り犯し 殺し 食らえばいい


宴が終わったならば 素早くお片付け

死体はより分からない場所へ隠し

宴の際着てた服は全て捨てる


その上で再び宿舎へと戻っていく

やはりその時も私だとは分からないように

こっそりと 注意をしながら


宴の次の日からもいつも以上に周囲に注意を払う

何か変わった動きは見せないか周囲に注意を払う


まずは一人 それから少しして二人

こうした手間のかかる殺しをした結果


これらは見付からずに済んだようだ

ザナソフスキーや民警 他の誰も

特に変わった動きを見せなかった


とは言え 驕ってはならない

油断してはならない


どれだけ殺ろうと 政府や民警は馬鹿ばかり

私はいくら殺ったとしても問題になりはしない


そう考え私は笑っていた

そう考え私はまた嗤った その結果

あの時逮捕されたのだ


今度はその愚を繰り返さない

そう心に決めた上で


私はノヴォチェルカッスクで働いていく

トルカチの仕事だけでなく 殺しもまた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る